【4月30日 AFP】ロバート・ゲーツ(Robert Gates)米国防長官は29日、訪問中のメキシコ市(Mexico City)で、ペルシャ湾(Persian Gulf)に派遣された米海軍の原子力空母エーブラハム・リンカーン(USS Abraham Lincoln)について、中東地域における米軍のプレゼンスを示す存在としてみられるべきだと述べ、米国がイラン攻撃の準備をしているとの見方を明確に否定した。

 ゲーツ長官は「米国は、2隻の空母を長期間にわたって展開するつもりはない。つまり、戦力の強化ではなく、注意を喚起するためのものだ」と語った。また、米海軍のジェフ・デービス(Jeff Davis)広報官は、リンカーンについて「1日か2日で」空母ハリー・S・トルーマン(USS Harry S. Truman)と交代すると語り、「通常の交代業務」だとした。

 リンカーン派遣に先立ち、米国はイランに対し、イラクへ介入するなど中東地域の不安定化要素となっているとして強硬な姿勢を示していた。

 米テレビ局CBSは、米国防総省がイラン攻撃に関する新たな作戦計画の作成を命じ、国務省はイランへの最後通告の作成に取りかかっていると報じた。これに関しゲーツ長官は、米国防総省がイラン攻撃を準備しているのかとの質問に「まったくない」と明言した。

 米国のイランに対する強硬姿勢の背景には、イラクでの戦闘が激化していることがある。米国は、イラク駐留米軍はシーア派(Shiite)民兵組織の「特殊部隊」と戦っており、この部隊はイランの支援を得ていると主張している。(c)AFP