【4月29日 AFP】スイスのベルン(Berne)で2日間にわたって開催された国連(UN)関連27機関のトップ会合で、世界的な食糧問題への対応が集中討議された。潘基文(Ban Ki-moon)国連事務総長は29日、会合後の記者会見で、食糧危機に各機関と連携して取り組む作業部会の設置を発表した。

 会合では、食糧問題に関する緊急対応策から、世界的な食糧危機を解決するための長期的措置まで広く協議された。

■「WFPに緊急資金援助を」

 潘事務総長は、最優先課題は「飢えに苦しむ人々への食糧供給」だと述べ、世界食糧計画(World Food ProgrammeWFP)に対する緊急かつ十分な資金支援を各国に呼び掛けた。食糧価格急騰のため、WFPでは約7億5500万ドル(約790億円)の追加資金を必要としている。

 会合に出席したWFPのジョゼット・シーラン(Josette Sheeran)事務局長は、「4億7100万ドル(約492億円)の支援が約束されているが、現時点で実際に提供を受けているのは1800万ドル(約18億8000万円)のみ。現金がなければ、食糧も調達できない。極めて短い時間枠の中で、できる限り早急に支援を得なければならない」と述べた。

■長期的課題取り組む連携的な機構を

 潘事務総長はもうひとつの緊急優先援助として、「明日の食糧確保のため」の農民支援を挙げた。しかし、長期的には「温暖化防止対策と同様、食糧危機に対処するには、構造的問題や政策課題への取り組みが早急に不可欠」だと認めた。

「この取り組みを前進させるために、食糧危機に対処する国連作業部会を設置する方針で合意した。わたしが座長となり、各専門機関のトップに集まってもらい、有効で調整力の高いメカニズムにしたい」と潘事務総長は述べた。

■世銀総裁、輸出禁止措置は逆効果と訴え

 一方、世界銀行(World Bank)のロバート・ゼーリック(Robert Zoellick)総裁は会合後の記者会見で、「(自国の)食糧危機に対応するための輸出禁止措置は、世界の食糧価格高騰を増長させるだけ」とし、各国にそうした措置を講じないよう要請した。

 ゼーリック総裁はウクライナが小麦の輸出規制を解除した動きについて、直ちに小麦価格の低下につながったとし歓迎を表明した。(c)AFP