【4月13日 AFP】中国の胡錦涛(Hu Jintao)国家主席は12日、チベット(Tibet)自治区での暴動について初めて公式の場で発言し、中国政府による弾圧を擁護し、今回の暴動が人権問題に関連しているとの見方を否定した。国営新華社(Xinhua)通信が報じた。

 胡主席は中国南部海南(Hainan)島で、オーストラリアのケビン・ラッド(Kevin Rudd)首相に対しチベット暴動は「国の分裂」を図ったものとの見方を示し、中国政府の対応はあくまでも内政問題だとの考えを強調した。

 中国政府の弾圧は各地で反中国運動を引き起こし、今週欧米を通過した北京五輪の聖火リレーではさまざまな妨害行為が見られた。

 胡主席は「(チベット仏教最高指導者の)ダライ(・ラマ)一派とのわれわれの闘争は民族や宗教、人権問題をめぐるものではない」とし、「これは国家の統一を守るか、分裂かの問題で、完全に中国の内政問題だ」と述べ、中国政府の対応は正当化できるとの見方を示した。

 前月に発生した暴動で、チベット亡命政府は死者150人と発表しているが、中国政府はチベット人「暴徒」が20人を殺害したとしている。

 さらに「このような人権を著しく侵害し、社会秩序を乱し、民衆の生活と財産の安全を脅かすような犯罪を、責任ある政府が手をこまねいて見ていられるはずがない」と強調した。

 胡主席は1988-92年、チベット自治区の党委書記を務め、政治的手腕を示した。ダライ・ラマとの対話について「接触と対話に向けての障害はわれわれの側でなくダライ・ラマの側にある。もしダライ・ラマに誠意があるならば、行動に移すはずだ」とし、「ダライ側が分裂工作や暴動の扇動、北京五輪への妨害をやめるならば、われわれはいつでも(ダライ・ラマと)接触し対話する用意がある」と述べ、対話の可能性を示唆した。(c)AFP/Peter Harmsen