【4月6日 AFP】(一部更新)中国で発生した暴動を受けてニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領は5日、北京五輪開会式をボイコットする可能性を示唆し、中国政府のチベット問題への対応に圧力をかけた。ルモンド(Le Monde)紙が5日、ラマ・ヤド(Rama Yade)外務・人権担当相の発言として報じた。

 一方、国際オリンピック委員会(IOC)のジャック・ロゲ(Jacques Rogge)会長はボイコットの「機運はない」と述べている。

 ヤド氏は、中国側が亡命中のチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)14世との交渉を開始し、政治犯を釈放すればサルコジ大統領は開会式に出席するとしている。ヤド氏は中国はチベットに対する暴力行為をやめるべきとし、これら3つの条件はサルコジ大統領が開会式に出席するには「必須」だと述べた。

 しかし同日、ヤド氏は発言を否定している。

■150人以上死亡か

 チベット情勢をめぐっては、中国政府が暴動により20人が死亡したとする一方、亡命チベット政府は5日、中国当局により150人以上が死亡したとしている。チベット民族は60年近くに及ぶ中国政府の「圧制」に抗議していると主張している。

 4日には中国の人権活動家、胡佳(Hu Jia)氏が転覆扇動罪で実刑判決を受けており、五輪開催を前に中国の人権状況悪化の懸念が高まっているが、中国当局が手を緩める気配はない。

 国営チベット・デーリー(Tibet Daily)はチベット自治区の党委副書記が影響力の強い僧に対して「愛国教育の強化」が最優先事項だと命じていると報じている。

 米支援団体「チベットのための国際キャンペーン(International Campaign for Tibet)」によると、共産党が長年行ってきたこの「再教育」では、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)を否定することなどが求められるという。(c)AFP