【4月1日 AFP】訪米中のオーストラリアのケビン・ラッド(Kevin Rudd)首相は3月31日、ワシントンD.C.(Washington D.C.)にあるシンクタンク、ブルッキングス研究所(Brookings Institution)で、「太平洋の世紀」にとって米中関係は重要であり慎重な調整が必要だと述べた。

 ラッド首相は同研究所で公開討論会に出席し、米中関係について「オーストラリアにとって、われわれの世紀が『太平洋の世紀』となるのかという問いに関する唯一、核心的な答えは、この最も重要な関係の長期的調整にかかっている」と語った。

「太平洋の世紀」という言葉は以前から特に経済面で、21世紀は環太平洋諸国、特に中国、日本、米国によって支配されるという見解を表すために用いられてきた。さらに最近では、インドを含むアジア諸国により重きを置く語として「アジアの世紀」という言葉も生み出された。

 ラッド首相は前週27日、就任後初の本格的な海外訪問としてワシントンに到着した。同日の発言ではさらに、急速に拡大している中国の軍事費に触れ「透明性」と「長期的戦略目的の不確実性」にかかわる問題が重要だと述べた。

 米国防総省は3月初旬に発表した報告書の中で、2007年の中国の総軍事支出が当初公表していた予算の2倍を超えたと指摘し、中国政府の透明性の欠如は安定を脅かすと警告した。

 中国との関係強化を進めてきたラッド首相は「将来の米中間に起こりうるあつれきについて、あらかじめ決まっていることはなんらない。現在のわれわれの行動が将来を左右する」と述べた。

 中国の専門家であり親中派として知られるラッド氏は、中国と国際社会間の共通基盤を追求し、このアジアの大国が「調和的な」世界秩序および地域秩序に貢献する「責任ある利害関係者」となることを期待している。(c)AFP/P. Parameswaran