【3月29日 AFP】大規模暴動が発生した中国チベット(Tibet)自治区ラサ(Lhasa)で、中国政府が手配した視察団に参加している米英仏日などの在中国大使館員は29日、前日に続き視察を行った。

 中国当局は27日、1泊の視察団派遣を急きょ決定した。視察団は28日夕方に現地入りし、自治区のシャンパプンツォク(Qiangba Puncog)主席と面会したほか、負傷した兵士を病院に見舞い、一般市民とも会話した。しかし、参加したある大使館員は、今回の視察団派遣は前向きな第一歩ではあるが、要請していた自由な視察にはほど遠く、厳重に管理された訪問であることは明白だとAFPに語った。

 29日午前は、チベット仏教で最も神聖な寺院の1つとされるジョカン(Jokhang)寺への訪問が許可された。この寺院では26日、取材を許可され同地を訪れた一部海外メディアの記者団に対し、僧侶が中国のチベット支配非難などを直接訴える場面もあったが、シャンパプンツォク主席は視察団に対し、抗議活動に参加した僧侶は罰せられないと言明したという。

 欧州連合(EU)で北京五輪の開会式ボイコットについて協議される中、視察団にはほかにイタリア、スペイン、ロシア、カナダ、オーストラリア、タンザニア、ブラジル、シンガポールなど15か国が参加した。インドとパキスタンも招待されたが、中国に隣接する両国にとってチベットの問題は慎重な対応を要することから参加を辞退したとみられている。

 視察団は29日午後に北京(Beijing)に戻る予定。自国政府に報告するまでは、コメントは控えるものとみられる。(c)AFP