【3月25日 AFP】パキスタン下院は24日、暗殺されたベナジル・ブット(Benazir Bhutto)元首相が率いていたパキスタン人民党(Pakistan People's PartyPPP)議会派のユサフ・ギラニ(Yousuf Raza Gilani)副総裁(55)を新首相に選出した。
 
 ギラニ新首相の下で、PPPと下院第2党のパキスタン・イスラム教徒連盟シャリフ派(Pakistan Muslim League-NawazPML-N)などを軸とする連立政権が成立する見込みで、ペルベス・ムシャラフ(Pervez Musharraf)大統領との緊張が高まるものとみられる。

 ギラニ新首相は、下院342議席中264票を獲得。一方の大統領派の擁立したペルベズ・エラヒ(Chaudhry Pervaiz Elah)氏は42票にとどまった。棄権も数人でた。

 ギラニ新首相は、下院議長を務めたこともある人物だが、ムシャラフ政権下で、議長時代に端を発する収賄容疑に問われ、5年間を刑務所で過ごした。

 選出の様子を見守っていた、ブット元首相の息子のビラワル・ブット(Bilawal Bhutto)PPP共同総裁は、ギラニ新首相と涙を流しながら握手を交わした。

 ギラニ新首相は選出後、初の演説を行い「ブット元首相の偉大なる犠牲のおかげで、今日、民主主義が回復された」と語った。

■前最高裁長官らの解放を命じる

 さらに、ギラニ新首相は同日、ムシャラフ大統領が前年発令した非常事態宣言下で軟禁状態に置かれている、すべての判事らを解放するよう命じた。

 ムシャラフ大統領は前年11月、当選を決めた大統領選挙結果に無効の判断を下されることを恐れ、十数人の判事を解任していた。この中には、イフティカル・ムハンマド・チョードリー(Iftikhar Muhammad Chaudhry)前最高裁長官も含まれている。(c)AFP