【3月22日 AFP】ロシア連邦議会の国家会議(下院)は21日、親欧路線をとるグルジアからの独立を目指すアブハジア(Abkhazia)自治共和国と南オセチア(South Ossetia)自治州の独立承認を検討するようロシア政府に求める動議を採択した。国営タス通信(ITAR-TASS)が伝えた。

 2票の棄権以外、全会一致で採択された。動議はロシアの同盟国セルビアの意向に反して西欧諸国がコソボ(Kosovo)自治州の独立を承認したことで、両地域をめぐる国際的ルールも踏みにじられたとしている。

 また、グルジアが北大西洋条約機構(NATO)に加盟するか、両地域で武力を行使した場合、ロシア政府は両地域の独立承認を考慮すべきとしている。また、ロシアが平和維持を目的として両地域に派遣している部隊の増強と、「外交関係」の開設も検討するよう求めている。

 グルジア議会の外交委員会委員長は同国の公共テレビでこの動きを「侵略的かつ敵対的」と呼ぶなどグルジア側は激しく反発している。一方、南オセチアは「勇気ある決定」として歓迎した。

 グルジア北部にあるアブハジア共和国と南オセチア自治州は、1990年代の紛争以降、グルジア政府の支配が及ばない状態が続いている。ロシア政府はグルジアの領土主権を尊重するとしているが、アブハジア、南オセチアの両方を公然と支持している。

 4月にはロシアとNATOの首脳会談がルーマニアのブカレスト(Bucharest)で予定されており、グルジアのNATO加盟についても話し合われるとみられている。(c)AFP