【3月20日 AFP】英国のチャールズ皇太子（Prince Charles）は5月、ロンドン（London）でチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ（Dalai Lama）14世と会談する。王室報道官が20日、明らかにした。前日には、ゴードン・ブラウン（Gordon Brown）英首相が5月にダライ・ラマと会談する意向を示し、中国政府の怒りを買っている。

　皇太子がダライ・ラマと会談するのかとのAFPの取材に対し、同報道官は「その通りだ」と答えたが、詳細は明らかにしなかった。

　皇太子は1月、チベットでの人権侵害に対する抗議活動を行う運動組織に対し、8月に開催される北京五輪の開会式に参加しない意向を示している。皇太子はチベットの支持者としてよく知られている。

　一方、国営新華社（Xinhua）通信によると、中国の秦剛（Qin Gang）外務省報道官はダライ・ラマを「宗教を隠れみのにして祖国分裂運動を推進する政治亡命者」と表現し、ブラウン首相とダライ・ラマ との会談に強い懸念を示した。

　これに対し、チベット亡命政府の駐英代表部のTsering Tashi氏は英民放チャンネル4（Channel 4）に「これは典型的な中国政府の発言だ。何か起こると、この種の声明を出す」と語った。

　ブラウン首相の報道官は、ダライ・ラマがいつ訪英するかは分からないとしているが、Tibet Society UKの報道官は、ダライ・ラマが5月22日のロイヤル・アルバート・ホール（Royal Albert Hall）でのイベントに参加するとしている。

　ダライ・ラマの側近は19日、チベット亡命政府と中国政府の対話を再開することでチベット問題の非暴力的解決を望むと語っている。

　亡命政府が暴動で99人の死亡を「確認した」とする一方、インド北部ダラムサラ（Dharamshala）を拠点とする亡命チベット代表者議会は、中国側の弾圧によって「数百人」が殺害された可能性があると主張している。(c)AFP/Prashant Rao