【3月19日 AFP】チベット(Tibet)人を支援する各国の人権団体は19日、発信者不明の大量の電話やウイルス感染した電子メールによる活動妨害を受けたことを明らかにした。これらの団体は、反中国暴動により中国当局の厳重な取り締まりの下に置かれているチベット自治区の現状を知るために、現地および周辺地域の人々と連絡を取ろうとしていた。

■携帯電話に中国語なまりの電話

 ロンドン(London)に本部を置く人権団体「フリー・チベット・キャンペーン(Free Tibet Campaign)」のMatt Whitticase氏のもとには、18日の午前4時から7時まで、携帯電話と勤務先の電話に何者からか2分おきに電話がかかってきた。

 Whitticase氏は、誰がかけてきたのか分からないとしながらも、いずれも英国の携帯電話の番号で、声には中国語なまりがあったと話している。

「電話の内容は、粗雑で口汚い表現を使った極めて反チベット的な性格のものだった。中国で列車の車内や公共の場所で耳にしていた中国の愛国的な音楽のような音が聞こえた」と同氏。仕事も電話もできないようにするのが狙いとみられる。

■コンピューター・ウイルス送りつける例も

 ニューヨーク(New York)に本部を置く学生組織「Students for a Free Tibet」幹部のLhadon Tethong氏のところにも同じような電話があった。相手は中国語で罵倒してきたという。さらに、電子メールでコンピューター・ウイルスが送られてきた。

「ウイルス攻撃を受けている。まったく恥知らずなことに(送信者は)チベット自治区で助けを必要としている人々を称している。電子メールは、功名に書かれた感情の込もった表現で、画像を開くよう求めている」とTethong氏はAFPに語った。

 さらに別の団体でも、数日前からウイルス攻撃を受け、コンピューターのセキュリティーが侵害されているとAFPに伝えた。

■AFPにもウイルス攻撃

 AFPも18日、電子メールによるウイルス攻撃を受けた。送信者はデンマーク在住と称する人物で、メールには中国軍に撃たれたチベット人の画像だというファイルが添付されていたが、開くとウイルス警告が現れた。

 妨害を受けたいずれの団体も、過去数日間のチベットでの反中国デモで発生した暴力行為に関する目撃証言を求めて、チベットや周辺地域の人々と連絡を取ろうとしていた。

 中国では、ジャーナリスト、人権団体、活動家は、デモ発生が伝えられる地域への立ち入りをほぼ全面的に禁じられている。(c)AFP