【3月13日 AFP】パリ(Paris)で14日から開催されるフランス最大のブックフェア「Salon du Livre」が、イスラエル作家の特集を組んだことからアラブ諸国の反発を買い、厳重な警戒が敷かれることとなった。

 同ブックフェアがイスラエルの作家を特集するのは今回が初めてで、アモス・オズ(Amos Oz)氏、デービッド・グロスマン(David Grossman)氏、アブラハム・B・イェホシュア(Avraham B. Yehoshua)氏などイスラエル人作家39人を招聘(しょうへい)している。

■パレスチナ自治区攻撃が影響

 しかし、イスラエルによるパレスチナ自治区への攻撃に国際的な非難が高まっているこの時期に、イスラエル作家に栄誉を与えることは不適切だとして、イスラム諸国政府やイスラム系作家などが反発。イスラム教育科学文化機構(Islamic Educational, Scientific and Cultural OranizationISESCO)は、イスラエルによるパレスチナ自治区攻撃は「人道に対する罪だ」と非難し、「イスラエルはブックフェアで名誉を受けるに値しない」として、加盟50か国に対し同フェアへの不参加を呼び掛けた。

■主催者は「行き過ぎ」と遺憾の意

 フェアを主催した仏出版社協会SNEのクリスティーヌ・ドマジエル(Christine Demazieres)代表は、アルジェリア、レバノン、モロッコ、チュニジアが呼び掛けに応じてボイコットを決定したことを明かし、「寛容の精神が欠落している。ボイコットは行き過ぎであり、表現の自由を否定したも同然だ」と遺憾の意を示した。

 さらにSNEは、栄誉を受けるのはイスラエルの作家個人でありイスラエル国家ではないと強調、多くのイスラエル作家は中東和平に向けた努力を続けていると指摘した。

■イスラエル大統領「人生で最もばかげた出来事」

 一方、13日夜の開会式に出席するためフランスを訪問中のシモン・ペレス(Shimon Peres)イスラエル大統領は、ボイコットについて「わたしの生きてきた中で最もばかげた出来事だ」とし、「書物に対するボイコットには反対だ。焚書(ふんしょ)やボイコットなどの過激な行動で、結局は自分たちが損をしているにすぎない」と述べた。

 イスラム諸国の反発を受け、主催者側は万一に備えブックフェアの警備強化を決定した。同フェアには、6日間で約20万人の来場が見込まれている。(c)AFP/Carole Landry