【3月7日 AFP】オランダ政府は6日、同国の極右政党の国会議員が製作した反イスラム教の短編映画が公開されることに対し、国際的な抗議が起こっていることを受け、テロ警戒レベルを引き上げると発表した。

 同国司法省は、「国内でのテロ攻撃に関する具体的な兆候はないが、テロの脅威が国際的に高まっていることから、国内のテロ警戒レベルを『限定的な脅威』から『実質的な脅威』に引き上げた」としている。

 テロ警戒レベルの引き上げの主な理由の1つは、極右政党のGeert Wilders下院議員が今月、イスラム教の聖典コーラン(Koran)を「ファシストの本」として批判する反イスラム教短編映画の公開を予定しているため。

 この短編映画に対しては、イランやエジプト、パキスタンなどのイスラム諸国が反発を強めている。公開された場合には、オランダ製品の不買運動を求める声も上がっている。

 アフガニスタンでは5日、映画公開に反対する数百人による街頭デモが行われた。また、旧支配勢力のイスラム原理主義組織タリバン(Taliban)は、公開された場合、同国に駐留する1600人のオランダ軍部隊に対して報復を行うことをすでに明らかにしている。

 イスラム教の預言者ムハンマド(Prophet Mohammed)の風刺漫画を掲載したデンマークの新聞に対し、各国で激しい抗議活動が行われたことを考慮し、同様の事態を避けたいオランダ政府はこれまでに2度、Wilders議員に公開中止の説得を試みたが失敗している。

 オランダ政府はすでに、イスラム諸国にある同国大使館に対して、テロなどに警戒するよう促しているという。(c)AFP/Stephanie van den Berg