【3月4日 AFP】米国防総省は3日、中国の軍事動向に関する年次報告書を発表し、中国の軍事力拡大の不透明性は地域の不安定要因になりかねないとの懸念を示した。

 報告書によると、中国は空母などの軍艦を攻撃できる巡航ミサイルや弾道ミサイルを開発中で、2007年には対衛星兵器による衛星破壊実験を実施した。また、新型大陸間弾道ミサイルの配備を進めているという。

 こうした中国の軍事動向について、デービッド・セドニー(David Sedney)国防次官補代理(東アジア)は、「最も憂慮すべきことは、われわれが中国の戦略的な意図を理解していないことだ」と語った。

 中国が公表した2007年の軍事予算は前年比17.8%増の450億ドル(約4兆6500億円)だが、米国防総省は2007年の実際の軍事支出はそれよりもはるかに多い970億ドル(約10兆150億円)から1390億ドル(約14兆3500億円)の間と推定している。

 また、中国が2007年11月現在、台湾海峡沿岸に配備している短距離弾道ミサイルは990から1070基で、さらに、戦闘機490機が給油することなく台湾で作戦を実施できる距離に配備されているという。

 報告書では、台湾海峡有事の際、米国が軍事介入する可能性も考慮し、中国が兵器の近代化を急いでいるとしている。

 このほか、報告書では2007年に米国を含む世界各国のコンピューターネットワークへの不正侵入が中国国内から行われたと見られることにも懸念を示した。

 一方で、2月29日の軍事ホットライン開設に関する協定の調印や、核戦略に関する対話など、米中軍事交流が進む兆しも見られている。(c)AFP/Jim Mannion