【2月23日 AFP】キューバの人民権力全国会議(国会)は24日、今週引退を表明したフィデル・カストロ(Fidel Castro)国家評議会議長の後任を選出する。見通し不透明なキューバの政治・経済改革の担い手となる次期議長には、カストロ氏の実弟のラウル・カストロ(Raul Castro)第1副議長(国防相兼任)が最有力視されている。

 約50年間権力の座にあったカストロ氏は19日、「わたしは国家評議会議長と軍総司令官の地位を望みもしないし受諾もしない、繰り返すがわたしはいずれの地位も望まないし受諾しない」と述べ、引退を表明すると共に、自身の健康不安や、2006年7月にラウル氏に一時的に委譲した議長職に復帰するのではないかとの憶測を一蹴した。

 24日の人民権力全国会議では、31人からなる国家評議会の次の議長(国家元首、任期5年)にラウル氏を選出する見通しが強まっている。長年キューバの国家評議会第1副議長兼国防相としてカストロ氏のカリスマ性の影に隠れていたラウル氏だが、次期議長に選出されれば難しい課題が待ちかまえている。

 カストロ氏の引退によって、キューバは軍と政府の両方で政治的な調整を迫られる見通しだが、22日に共産党機関誌グランマにカストロ氏が寄せた論考から判断すると、次の議長はカストロ氏の方針を踏襲する可能性が強いとみられる。

 カストロ氏はこの論考で「24日の人民権力全国会議での議長選出を待つ間、緊張で疲れ果ててしまった」と明らかにした一方、同氏は現在「人民権力全国会議および国家評議会の次期議長の選出で、自分の1票にどのような価値を与えるか検討している」と語り、ラウル氏の次期議長選出の憶測が強まった。

 一方、カストロ氏は19日の引退声明で「中堅世代」が後継者となる可能性についても言及。これにより、カルロス・ラへ(Carlos Lage)副議長(56)、フェリペ・ペレス・ロケ(Felipe Perez Roque)外相(42)の名前も浮上している。

 大半のアナリストは、キューバの変革は主に経済的なものになると予測している。ラウル氏が議長に選出された場合、中国の例にならい、政治的権限をラウル氏の権力基盤である共産党に残しつつ、経済開放政策をとるのではないかとの見方もある。

 カストロ氏は論考で、自身の議長引退でキューバの一時代が終焉すると認めているものの、同国の政治制度が変化するという見方は否定している。(c)AFP