【2月23日 AFP】ザルメイ・ハリルザド(Zalmay Khalilzad)米国連大使は22日、コソボ独立を支持する西側諸国に対してロシアから厳しい批判の声が上がっていることに対し、そのような態度は国連でこれまでロシアが示してきた姿勢と異なると述べ、強硬論をけん制した。

 ザルメイ・ハリルザド(Zalmay Khalilzad)米国連大使は22日、記者団との昼食会で「ロシアは非常に現実的だ」と述べ、国連におけるロシアの態度には、コソボによる一方的な独立宣言という現実に適応しようという意図が見られていたと述べた。
 
 21日にセルビアの首都ベオグラード(Belgrade)で米大使館などが襲撃された事件について、ロシア政府は22日、コソボ(Kosovo)自治州の独立を支持したことが事件のきっかけになったとして西欧諸国を非難した。

 また、ロシアは今回の騒ぎがコソボでの暴力の先例になりかねないとして北大西洋条約機構(North Atlantic Treaty OrganizationNATO)や欧州連合(EU)を警告した。ドミトリー・ロゴージン(Dmitry Rogozin)NATO常駐代表は、EUあるいはNATOによるコソボ支持はロシアに「武力介入」の権利を与えるとの見方さえ示唆した。

 ハリルザド大使は、ロシア側の発言をすべて把握していないとしながらも、「これまでロシアが国連で示してきた立場とは異なるようだ」と指摘し、ロシアの国連における活動が「正しい方向に向いたものだ」との考えを示した。また、コソボの分離独立に対するセルビア側の怒りに理解を示しつつも、大使館の襲撃などはセルビアの利益にならないと述べた。

 21日、コソボの一方的な独立に反対する若者がベオグラードの米大使館建物に放火した。この火事で1人が死亡した。(c)AFP