【2月14日 AFP】(写真追加)1973年に行われた、中国の毛沢東(Mao Zedong)国家主席(故人)とヘンリー・キッシンジャー(Henry Kissinger)米大統領補佐官(当時)の会談で、毛主席が米国に1000万人の中国人女性を送ると冗談めかして語っていたことがわかった。12日に発表された、1973-76年の米中外交に関する米国務省の外交文書で明らかになった。

 同文書によると、貿易問題に話が及んだ際に毛主席は「(中国は)非常に貧しい国だが、余っているのは女性だ」と語り、笑いを誘ったという。そして、中国人女性1000万人の米国への移住を提案し、そうすることで米中貿易が促進できると指摘する一方で、中国と同様に人口爆発によって米国は「痛手」を被るだろうと語ったという。

 これに対し、キッシンジャー補佐官は、米国には中国人女性の「受け入れ制限」や「関税はない」と応じ、会談は笑いに包まれたという。

 話題が一段落したところで、リチャード・ニクソン(Richard Nixon)米大統領(当時)の下で国家安全保障を担当していたキッシンジャー補佐官は、ソ連の脅威などの国際問題に話題を移そうとした。

 ところが、毛主席は中国人女性の話題を再び持ち出し、「大量の中国人女性が米国に行ってくれれば、米国の利益は損ねるが、わが国の重荷は軽くなる」と語ったという。さらに、「わが国の女性が多すぎるから、人口も多すぎるのだ」として人口増加への懸念も示したという。

 キッシンジャー補佐官が「あまりに意外な提案なので、検討する必要がある」と答えたところでやっと話題が国際問題に移った。

 会談に同席した中国の外務副大臣が、会談の議事録が公開された場合、「国民の怒りをかう」として懸念を示し、毛主席とキッシンジャー補佐官も議事録の廃棄に同意したという。

 会談後、キッシンジャー補佐官が記者会見でこの話題を持ち出すと冗談を言うと、毛主席は「別に構わんよ」と答えたという。
 
 1973年2月17日に毛主席の自宅で行われたこの会談は、周恩来(Zhou Enlai)首相(当時)も同席し、深夜までの長時間に及んだ。(c)AFP/P.Parameswaran