【2月12日 AFP】(2月13日 一部修正)米大統領選で民主党指名候補の座を争っているバラク・オバマ(Barack Obama)上院議員は、インドネシアやケニアなど世界の意外な場所に縁があり、それぞれで熱烈に支持されているが、日本にもそのような場所があった。

■名前が同じ縁、誕生日は「お箸の日」

 福井県小浜(Obama)市は漁業と観光で知られる人口3万2000人の小さな都市だ。小浜市はオバマ氏が大統領になったあかつきにはサミット開催地に選ばれるかもしれないと淡い期待を寄せている。

 同市では「オバマ候補を勝手に応援する会」が結成され、選挙戦結果のテレビ放映とあわせて集会を開いたり、同氏を応援するポスターを展示したりしてきた。新たにオバマ氏に似せた饅頭を発売する計画もあるという。

 村上利夫(Toshio Murakami)市長(75)も前年、オバマ氏の健康と当選を祈り、同市特産の「若狭塗箸」と手紙をオバマ氏に贈った。なぜ「箸」を贈ったのか?実はオバマ氏と小浜市のつながりは名前だけではなく、オバマ氏の誕生日である8月4日が同市の定める「お箸の日」に当たるのだ。

 村上市長はさらに、観光名所である小浜神社(Obama Shrine)の幸運のお守りもオバマ氏に贈る予定だ。塗箸と手紙はインターネットで調べたオバマ氏の住所に送ったためちゃんと届いたかどうか定かではないと語る市長は、お守りを確実に届けるため既に米国大使館にオバマ氏の住所を問い合わせたという。

■平和への期待も

 こうした一連の動きを冷笑する向きもあるかもしれない。だが名前が同じことを先に公にしたのは、ほかならぬオバマ氏自身だった。

 2006年12月、オバマ氏は日本のテレビ局TBSに対し、入国した際にパスポートにスタンプを押した係官がオバマ氏を見上げて、「I'm from Obama.(小浜市出身なんです)」と話しかけてきたというエピソードを語った。この放送を見ていたあるお寺のお坊さんが、村上市長に両者のつながりを知らせたのだという。

 しかし、村上市長がオバマ氏を支援する理由は名前だけではない。地球温暖化問題を重視する姿勢やイラク戦争に反対する立場に共感しているという。また、小浜市では1970-80年代にかけて北朝鮮工作員による日本人拉致事件も発生したことから、オバマ氏が大統領になっていつの日か北朝鮮との間に平和条約が結ばれる日がくることを願っているという。村上市長の胸には拉致被害者の帰国を望むブルーリボン・バッジが光っていた。

■市民も声援

 市民のあいだでも米大統領選挙は注目の的だ。ある女性は「オバマさんは目と声がすごく印象的。ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)さんはちょっと古くさいし、旦那さんが元大統領だもの。全然違う人が次期大統領になったほうがいいわ」とオバマ氏を全面的に応援。また「オバマ氏なら人種差別問題を解決してくれそう」と指摘する市民もいた。

「勝手に応援する会」では、「I love Obama」Tシャツの製作も計画している。会を率いる藤原清次(Seiji Fujiwara)事務局長は、投票はできないが、応援メッセージを送ることでオバマ氏を後押ししたいと意気込んだ。(c)AFP/Shaun Tandon