【2月5日 AFP】今年11月に行われる次期米国大統領選挙の本選へ向けて民主党、共和党の指名が有力視されている4人の候補の主張を主な論点別にまとめた。

■イラク問題

 民主党有力候補の2人、ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)氏とバラク・オバマ(Barack Obama)氏はともにイラク戦争の終結と駐イラク米軍の即時撤退を公約に掲げている。両者ともイラクにおける米軍基地の恒久化にも反対しているが、兵力を削減して短期・中期的に駐留する案については受け入れる可能性を排していない。クリントン候補が2002年のイラク開戦決議で賛成票を投じた点は、開戦時からイラク戦争に反対していた点を強調するオバマ氏から、常に厳しく批判されている。

 共和党候補では、前年米軍増派を支持したジョン・マケイン(John McCain)上院議員が、増派によるイラク戦略の表面上の成功を自身に有利な材料にしようとしており、イラク政策の処理をめぐりドナルド・ラムズフェルド(Donald Rumsfeld)前米国防長官の辞任を主張した点を有権者に訴えている。マケイン氏は米軍を必要な限りイラクに駐留させたいとしている。ライバルのミット・ロムニー(Mitt Romney)前マサチューセッツ(Massachusetts)州知事はイラク戦略の成功を願っているとし、「マケイン氏と違い自分は一度も撤退期限の設定を提案したことはない」と強調している。

■経済

 民主党のクリントン、オバマ両候補は、大統領選から撤退したジョン・エドワーズ(John Edwards)元候補の掲げていた「貧困との戦い」を自分たちの政策に取り込み、ブッシュ政権による景気刺激策のうち、中流層に利する部分は据え置き、富裕層対象の減税は撤回すると誓っている。低所得者向け住宅融資(サブプライムローン)の焦げ付き問題についても両者ともに、住宅の差し押さえ回避のための永久基金設立を提案している。クリントン候補はさらに金利の凍結を訴えている。

 共和党側は、増加する国債発行に反対し、ブッシュ大統領の減税策に一時は反対票を投じたマケイン氏も含め、両候補とも減税、少なくともブッシュ政権の減税策の継承に基づいた政策が中心だ。サブプライムローン問題では、マケイン氏が「欲深いウォールストリート」と呼ぶ米金融界への制裁措置を求めるのに対し、ロムニー氏は金融機関に抵当に関する再交渉を求めたいとしている。

■保健医療制度

 民主党候補2人は国民皆保険の導入を掲げている。クリントン候補は医療費を下げて全国民に保険加入を義務づけるべきだと提言し、オバマ候補は奨励策を用意した任意制度にし、同時に医療費を削減するが、子どもの健康保険加入に関しては保護者に義務づける政策を主張する。
 
 共和党マケイン候補は、現在4500万人が保険未加入のアメリカ国民に保険をもっと身近なものにしたいと訴える。また、保険会社および医薬品企業による消費者を犠牲にした不当な利益吸い上げを防止するため、業界監視の強化を提唱している。ロムニー氏は規制緩和を強力に主張し、競争によって保険料も下がると主張している。

■移民問題

 民主党の2人は、メキシコ国境の警備を強化すると同時に現在国内に在住する約1200万人の不法滞在外国人には条件付きの法的地位を与える移民法改革を支持している。

 共和党マケイン氏も民主党と同様の政策を支持しており、2006年の改正移民法に盛り込むことを求めたが失敗した。現在マケイン氏は、移民法改革よりも国境管理の強化が先決だと論じている。一方、ロムニー候補はより厳格な移民規制を求めている。

■宗教

 両党の有力候補者は全員、自分たちの信仰について公に明らかにしている。

 民主党のオバマ氏はミドルネームがフセイン(Hussein)であることで、「イスラム教徒であることを隠している」とする匿名の中傷キャンペーンを展開されたが、自身は敬虔なクリスチャンだと強調し、キリスト教信者の支持獲得も目指している。

 モルモン教徒の共和党ロムニー候補は、公的生活の中でも信仰を前面に出すとする一方、自身が大統領になっても同派の教義が自らを導くことはないと誓約している。(c)AFP