【1月17日 AFP】ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領は16日、エジプトの紅海(Red Sea)に面したリゾート地シャルムエルシェイク(Sharm el-Sheikh)で、同国のホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)大統領との会談を行い、8日間の中東歴訪を終えた。

 ブッシュ大統領は会談後の記者会見で、アラブ諸国からの全面的な支援は取り付けることはできなかったものの、イスラエルとパレスチナとの和平協定締結に向けて楽観的な見通しを示し、中東歴訪の成果を強調した。

 一方で、今回の中東歴訪の成果については、懐疑的な見方も強い。

■中東和平交渉

 残りの任期が1年に迫り、華々しい外交的成果を挙げて自身の花道を飾りたいブッシュ大統領は、中東歴訪の最初の訪問地エルサレム(Jerusalem)で、前年11月に米国で開催された中東和平国際会議で約7年ぶりに再開された中東和平交渉が、自身の任期の切れる2009年1月までに妥結することに自信を示していた。

 その上で中東和平交渉の進展に向けて、主要アラブ諸国にイスラエルへの歩み寄りを求めたが、これに対し、サウジアラビアのサウド・ファイサル(Saud al-Faisal)外相が「(和平交渉に関し)イスラエルにこれ以上どう歩み寄ればいいのか」と語るなど、米国と強固な信頼関係で結ばれている同盟国であるサウジアラビアからの反応は芳しくなかった。

■対イラン

 ブッシュ大統領は今回の中東歴訪で、米政府が「世界平和への脅威」としているイランによる核開発問題に対する米国の姿勢にアラブ諸国からの支持を得て、イランを孤立化させることを目標にしていた。だが、イランの「脅威」に関してはサウジアラビアも消極的な姿勢をみせるなど、米国の同盟国である湾岸諸国の理解を得ることができなかった。

■原油価格

 ブッシュ大統領はサウジアラビアで、「現在の石油価格は非常に高く、米経済にとって厳しい状況」であるとの認識を示し、石油輸出国機構(Organization of Petroleum Exporting CountriesOPEC)が原油増産をするよう求めた。これに対し、OPEC側は原油の供給不足はないとの姿勢を示したが、ブッシュ大統領が原油増産へ言及したことで原油価格は一気に値下がりした。

■中東での民主主義

 ブッシュ大統領は、直接選挙による体制の選択がほとんど行われていない中東地域における民主主義の進展も目指していたが、これに関しても、アラブ諸国からよい反応を得ることはできなかった。(c)AFP/Laurent Lozano