【1月15日 AFP】パキスタンのベナジル・ブット(Benazir Bhutto)元首相暗殺後、パキスタン人民党(Pakistan People's PartyPPP)の総裁に指名された息子のビラワル(Bilawal)氏(19)が通う英オックスフォード大学(University of Oxford)では14日、新学期がスタートしたが、同氏の警備をめぐる問題が論争を呼んでいる。

 同大のクライスト・チャーチ・カレッジ(Christ Church College)で歴史を学ぶ1年生のビラワル氏は、総裁指名後も大学生活を続けることを宣言し、英国に戻った。

 ロンドン警視庁(Scotland Yard)は、同氏の警備のため極秘任務を開始。警備業界関係者の話では、この任務には毎月、多額の費用がかかるという。

 一方、オックスフォード大学は学生らに対し、ビラワル氏に対する「直接的な脅威」はないと強調しているが、同氏の存在で地元住民に危険が及ぶのではないかと懸念する声も挙がっている。

 地元紙オックスフォード・メール(Oxford Mail)のウェブサイトには、「国に帰れ。お前がいるだけで、オックスフォードの住民は危険にさらされる」との投稿も寄せられた。同氏の警備費用が税金で賄われることを想定し、反感をあらわにする投稿もあった。
 
 警備を監督する立場のロンドン警視庁は、同氏の警備に関する取り決めの内容については明らかにせず、同大もコメントを拒否した。

 サッカーのデビッド・ベッカム(David Beckham)選手や歌手のマイケル・ジャクソン(Michael Jackson)さんをはじめ、英王室の警備も担当した民間警備会社Executive Group HoldingsのMike Faux氏は、武装警備員が24時間警護にあたるだろうと予測する。

 またFaux氏は、おとりや車列を組む手法で警護が行われるとみており、多額の費用が必要だと指摘。ビラワル氏は現在、英国で最も生命の危険にさらされている人物だとし、ブット氏の暗殺後すぐに大学に戻ったことには疑問を感じると述べた。

「ビラワル氏は普通の生活を望んでいるが、残念ながらそれは無理だろう。母親のブット氏は普段通りの生活を継続しようとした結果、命を失ってしまった」とFaux氏は話している。(c)AFP/Katherine Haddon