【1月14日 AFP】2008年米大統領選で民主党の指名を争うヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)上院議員とバラク・オバマ(Barack Obama)上院議員の舌戦は13日、人種絡みの発言をめぐり泥沼化の様相を呈してきた。

 ネバダ(Nevada)州の党員集会とサウスカロライナ(South Carolina)州の予備選を控えて険悪化した両候補の応酬は、この戦いに賭ける意気込みの強さを物語っている。

 クリントン氏は、サウスカロライナ州から中継でNBCテレビの番組に出演。黒人公民権運動家のマーティン・ルーサー・キング(Martin Luther King)牧師に触れた自らの発言が、アフリカ系アメリカ人の指導層から同牧師に対する中傷だと受け止められたことについて、「オバマ陣営は発言の内容を意図的にゆがめている」と反論した。

 また、自分は公民権のために「全人生」をかけて戦ってきたと述べ、オバマ陣営が「不公平かつ不当に」自分を中傷していると非難した。

 ニューハンプシャー(New Hampshire)州予備選を控えた7日、アイオワ(Iowa)州に引き続き敗北が懸念されていたクリントン氏は、「変革」を訴えるオバマ氏に対抗して自らの政治的経験を強調。「キング牧師の夢がかなったのは、リンドン・ジョンソン(Lyndon Johnson)大統領が1964年に公民権法(Civil Rights Act)を制定したのが始まりだ。実現のためには大統領が必要だった」と発言した。

 一部でこの発言が、キング牧師の言葉を実行できるのは白人大統領のみだという意味を込めたものだと受け止められ、問題となった。

 オバマ氏は電話会見で、クリントン氏には「不適切、不用意な発言」を行った罪があると指摘。その上で、自陣営がクリントン氏に対する黒人の反発をあおろうとしているとの見方を否定し、「クリントン氏が何を言おうと自由だが、われわれのせいにするのはばかげている」と述べた。また、ワシントンの政治家は「選出されるためならどんな発言や行動も許されると思っている」と批判した。

 米国議会最有力の黒人議員で、サウスカロライナ州の民主党実力者でもあるジェームズ・クライバーン(James Clyburn)下院議員は、クリントン候補の発言を受けてオバマ氏支持を打ち出す可能性を示唆。もしそうなった場合、26日の予備選はオバマ氏有利に動く可能性がある。

 一方、共和党候補は15日のミシガン(Michigan)州予備選を前に、経済政策をめぐる論戦を展開。苦戦気味のミット・ロムニー(Mitt Romney)前マサチューセッツ(Massachusetts)州知事にとってミシガンは、生き残りをかけた舞台となる。(c)AFP/Jitendra Joshi