<08米大統領選挙>共和党ミシガン予備選、争点は経済不況
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【1月13日 AFP】米国の景気後退に対する不安が大統領選挙の中心的な争点となる中、共和党の指名候補争いで首位を走るジョン・マケイン(John McCain)上院議員は12日、米経済の苦境によって大きな打撃を受けたブルーカラー層の多いミシガン(Michigan)州で、景気後退に関する自身の率直な意見を表明した。
■次戦ミシガン、低迷する自動車産業の中心地
全米調査で首位に立ち勢いに乗るマケイン候補は、15日に予備選が予定されるミシガン州で他の候補者たちと舌戦を繰り広げた。ミシガン州は低迷する自動車産業の中心地であり、失業率は7.4%に上っている。
米国の自動車産業は、アジア企業との競争で市場シェアの減少に直面し、国内の工場を閉鎖してきた。デトロイト(Detroit)郊外の集会でマケイン氏は、「かつての自動車産業の雇用を取り戻すことができる」と主張するライバル候補者たちを批判した。
マケイン氏は「かつての自動車産業の雇用の復活を約束することに、私は戸惑いを感じる。私なら新たな雇用、新たに良質な仕事をミシガン州に持ってくることができる」と述べた。
■地元ロムニー氏、「ミシガンは炭鉱のカナリア」
一方、序盤戦で2連敗し、低迷するライバルのミット・ロムニー(Mitt Romney)候補は、生まれ故郷であり、また父親が州知事を務めたこともあるミシガン州の雇用拡大を約束し、大統領候補として生き残りをかけた戦いに臨んでいる。
ロムニー氏は、「個人的な想いがある。それは2つの理由による。一つは、この偉大な州が私の生まれ故郷だから。そしてもう一つの理由は、私の考えでは、ミシガン州が『炭坑のカナリア』だからだ。つまり、ミシガン州で起こる出来事は、やがては全米規模で起こるのだ」と訴えた。
「(ミシガン州予備選の結果は)ロムニー氏にとって、より重要な意味を持っている。ミシガン州で勝利を得られなければ、ますます苦境に立たされることになるだろう」と ミシガン大学(University of Michigan)のVincent Hutchings教授は指摘する。
■経済問題を軸にマケイン、ロムニー、ハッカビー候補の三つどもえ
前週ニューハンプシャー(New Hampshire)州予備選の劇的な勝利で勢いに乗ったマケイン氏は、共和党員を対象としたCNNの世論調査で34%の支持を集め、共和党指名候補争いの首位に立っている。
12日には、サウスカロライナ(South Carolina)州の地元有力紙「The State」が、19日に実施される共和党予備選において「明らかに最善な選択」として、マケイン氏への支持を表明した。
共和党員対象の全米調査で2位の支持率を獲得した元キリスト教プロテスタント派バプテスト派牧師のマイク・ハッカビー(Mike Huckabee)候補も、ミシガン州でのキャンペーンに力を入れている。
雪だるま式に増加する住宅ローン(サブプライムローン)の焦げ付き問題や、ガソリン価格の高騰に直面し、ミシガン州のみならず全米に広がる経済への懸念を受け、大統領候補者たちは経済問題へと争点を移行している。
前述の世論調査では、登録有権者の3分の1以上が「大統領を選ぶ上で最も重要な問題は経済である」と回答している。次いで4分の1がイラク戦争を挙げた。
経営コンサルタントや投資会社経営者などを歴任したロムニー氏は、自身のビジネス経験がミシガン州の有権者の支持獲得につながると期待している。しかし、ライバルの共和党候補者たちも、一歩も譲る気配がない。
元アーカンソー(Arkansas)州知事のハッカビー氏は、最近の調査でミシガン州を制しうるとの結果が出ると早急に同州での遊説先を増やし、11日には財界人を集めたデトロイトでの集会で、海外企業との競争力格差をなくし、所得税を連邦消費税と置き換えることを誓約すると述べて支持を呼び掛けた。
一方、ルドルフ・ジュリアーニ(Rudolph Giuliani)前ニューヨーク市長は人気のない中西部には力を入れず、29日に行われるフロリダ(Florida)州の予備選に集中する構えだ。
■民主党、主要候補はミシガン不参加、ネバダに焦点
一方、民主党側の主な候補者たちはミシガン州の予備選に参加しない意向を表明している。ミシガン州の党委員会が、2月5日の「スーパーチューズデー」よりも日程を前倒しにしたが、これが党の全国規則に反しているためだ。
しかし、ミシガン州の次のネバダ(Nevada)州党員集会に向け、民主党側も経済に選挙戦の焦点を合わせている。ネバダ州はヒスパニック系人口の増加の中心地であり、影響力の強い労働組合も集中する。
翌日ネバダ州党員集会を控えた11日の調査の結果で、民主党候補の先頭に再び立ったヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)候補は同日、ラスベガス(Las Vegas)を遊説した。初の女性大統領を目指すクリントン候補は「アメリカの共通目標は進歩だ。富裕層や有力な縁故に恵まれた者だけのための進歩ではなく、全員のための進歩。誰もがアメリカン・ドリームを実現する資格がある」と述べ、「それが私が出馬している理由だ」と付け加えた。
最有力ライバルのバラク・オバマ(Barack Obama)候補は、住宅所有者に対する税額控除や中間所得層や退職者の税負担緩和などを訴えた。またインターネットへのアクセスの普及、向上に関する調査の強化を求めた。
オバマ候補は12日、民主党有力者の1人、ベン・ネルソン(Ben Nelson)上院議員の支持も取り付けた。(c)AFP/Mira Oberman
■次戦ミシガン、低迷する自動車産業の中心地
全米調査で首位に立ち勢いに乗るマケイン候補は、15日に予備選が予定されるミシガン州で他の候補者たちと舌戦を繰り広げた。ミシガン州は低迷する自動車産業の中心地であり、失業率は7.4%に上っている。
米国の自動車産業は、アジア企業との競争で市場シェアの減少に直面し、国内の工場を閉鎖してきた。デトロイト(Detroit)郊外の集会でマケイン氏は、「かつての自動車産業の雇用を取り戻すことができる」と主張するライバル候補者たちを批判した。
マケイン氏は「かつての自動車産業の雇用の復活を約束することに、私は戸惑いを感じる。私なら新たな雇用、新たに良質な仕事をミシガン州に持ってくることができる」と述べた。
■地元ロムニー氏、「ミシガンは炭鉱のカナリア」
一方、序盤戦で2連敗し、低迷するライバルのミット・ロムニー(Mitt Romney)候補は、生まれ故郷であり、また父親が州知事を務めたこともあるミシガン州の雇用拡大を約束し、大統領候補として生き残りをかけた戦いに臨んでいる。
ロムニー氏は、「個人的な想いがある。それは2つの理由による。一つは、この偉大な州が私の生まれ故郷だから。そしてもう一つの理由は、私の考えでは、ミシガン州が『炭坑のカナリア』だからだ。つまり、ミシガン州で起こる出来事は、やがては全米規模で起こるのだ」と訴えた。
「(ミシガン州予備選の結果は)ロムニー氏にとって、より重要な意味を持っている。ミシガン州で勝利を得られなければ、ますます苦境に立たされることになるだろう」と ミシガン大学(University of Michigan)のVincent Hutchings教授は指摘する。
■経済問題を軸にマケイン、ロムニー、ハッカビー候補の三つどもえ
前週ニューハンプシャー(New Hampshire)州予備選の劇的な勝利で勢いに乗ったマケイン氏は、共和党員を対象としたCNNの世論調査で34%の支持を集め、共和党指名候補争いの首位に立っている。
12日には、サウスカロライナ(South Carolina)州の地元有力紙「The State」が、19日に実施される共和党予備選において「明らかに最善な選択」として、マケイン氏への支持を表明した。
共和党員対象の全米調査で2位の支持率を獲得した元キリスト教プロテスタント派バプテスト派牧師のマイク・ハッカビー(Mike Huckabee)候補も、ミシガン州でのキャンペーンに力を入れている。
雪だるま式に増加する住宅ローン(サブプライムローン)の焦げ付き問題や、ガソリン価格の高騰に直面し、ミシガン州のみならず全米に広がる経済への懸念を受け、大統領候補者たちは経済問題へと争点を移行している。
前述の世論調査では、登録有権者の3分の1以上が「大統領を選ぶ上で最も重要な問題は経済である」と回答している。次いで4分の1がイラク戦争を挙げた。
経営コンサルタントや投資会社経営者などを歴任したロムニー氏は、自身のビジネス経験がミシガン州の有権者の支持獲得につながると期待している。しかし、ライバルの共和党候補者たちも、一歩も譲る気配がない。
元アーカンソー(Arkansas)州知事のハッカビー氏は、最近の調査でミシガン州を制しうるとの結果が出ると早急に同州での遊説先を増やし、11日には財界人を集めたデトロイトでの集会で、海外企業との競争力格差をなくし、所得税を連邦消費税と置き換えることを誓約すると述べて支持を呼び掛けた。
一方、ルドルフ・ジュリアーニ(Rudolph Giuliani)前ニューヨーク市長は人気のない中西部には力を入れず、29日に行われるフロリダ(Florida)州の予備選に集中する構えだ。
■民主党、主要候補はミシガン不参加、ネバダに焦点
一方、民主党側の主な候補者たちはミシガン州の予備選に参加しない意向を表明している。ミシガン州の党委員会が、2月5日の「スーパーチューズデー」よりも日程を前倒しにしたが、これが党の全国規則に反しているためだ。
しかし、ミシガン州の次のネバダ(Nevada)州党員集会に向け、民主党側も経済に選挙戦の焦点を合わせている。ネバダ州はヒスパニック系人口の増加の中心地であり、影響力の強い労働組合も集中する。
翌日ネバダ州党員集会を控えた11日の調査の結果で、民主党候補の先頭に再び立ったヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)候補は同日、ラスベガス(Las Vegas)を遊説した。初の女性大統領を目指すクリントン候補は「アメリカの共通目標は進歩だ。富裕層や有力な縁故に恵まれた者だけのための進歩ではなく、全員のための進歩。誰もがアメリカン・ドリームを実現する資格がある」と述べ、「それが私が出馬している理由だ」と付け加えた。
最有力ライバルのバラク・オバマ(Barack Obama)候補は、住宅所有者に対する税額控除や中間所得層や退職者の税負担緩和などを訴えた。またインターネットへのアクセスの普及、向上に関する調査の強化を求めた。
オバマ候補は12日、民主党有力者の1人、ベン・ネルソン(Ben Nelson)上院議員の支持も取り付けた。(c)AFP/Mira Oberman