【1月12日 AFP】中東歴訪中のジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領は12日、2番目の訪問地クウェートに到着後、同国南部にある米軍基地で演説を行い、7月までに実施されるイラク駐留米軍の削減は進展していると明らかにした。

■イラク駐留米軍の削減は順調

 同国南部にある中東最大の米軍基地キャンプ・アリフジャン(Camp Arifjan)でデビッド・ペトレアス(David Petraeus)イラク駐留米軍司令官と、ライアン・クロッカー(Ryan Crocker)駐イラク米大使と会合を行った後、ブッシュ大統領は記者団に対し、米政府はイラク駐留米軍を現在の20個旅団から15個への削減を進めていると明らかにした。

 ブッシュ大統領はまた、「イラクでの武力攻撃の発生数は著しく減少している。バグダッド(Baghdad)をはじめイラク全土で希望が回復している」と述べた。

■シリア、イラン両政府にイラクで武力攻撃を扇動しないよう要求

 ブッシュ大統領はさらに、「シリア政府はテロリスト、特に自爆テロ犯のイラク流入をさらに防ぐ必要がある。イラン政府は、イラク軍と多国籍軍を攻撃する武装勢力への支援、イラク当局者の誘拐や殺害をやめるべきだ」と訴えた。また「イラン政府が武力攻撃を扇動しているのは明らかだ。われわれはイランの工作員を拘束しており、過激派への訓練や支援について多くの情報を得ている」と明らかにした。

■イラク駐留の延長も

 ブッシュ大統領は11日、米テレビ局NBCとのインタビューで、米軍のイラク駐留が10年続く可能性について質問され、「もちろんそうなる可能性は高い」と答えている。

 イラク進攻から約5年が経過するが、前年の増派にもかかわらずイラク国内では依然として爆弾の爆発事件が絶えない。米国内では、イラク政策に対する不満も高まっている。

■米兵士を激励

 同大統領は同日、兵士約1500人に演説も行い、「あなたがたは米国を守るために非常によくやっている。あなたがたが海外で敵を倒しているから、国内で敵に会わずに済んでいる」と激励。テロとの戦いを「イデオロギーの戦い」と位置付け、「憎しみのイデオロギーを負かす最善の方法は希望のイデオロギーだということを、歴史が証明するだろう」と主張した。

 同大統領は、同地を皮切りにバーレーン、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビアの湾岸諸国を訪問したあとエジプトを訪問し、中東和平を推し進めイランをめぐる問題に対し親米アラブ諸国からの支持を取り付ける構えだ。

 また、イラクを電撃訪問する可能性もある。ブッシュ大統領はイラク侵攻後、同国を3度訪問しており、最近では前年9月に訪問している。(c)AFP