故ブット元首相の義妹ギンワ氏、PPP新総裁の甥に熱いまなざし
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【1月9日 AFP】暗殺されたパキスタンのベナジル・ブット(Benazir Bhutto)元首相の義妹ギンワ・ブット(Ghinwa Bhutto)氏がAFPとの独占インタビューに応じ、ブット氏の長男は野党パキスタン人民党(Pakistan People’s Party、PPP)の総裁職を辞退して自身の政党に加わってほしいと語った。
パキスタン南部ラルカナ(Larkana)の自宅でインタビューに応じたギンワ氏は、ブット元首相の弟の故ムルタザ・ブット(Murtaza Bhutto)氏の妻。ムルタザ氏が1996年に暗殺されて以来、両家は絶縁状態にある。
ギンワ氏は、PPPのライバル政党である地域政党・人民党シャヒード派の代表で、来月18日の総選挙への立候補を表明している。シャヒードは「殉教者」の意味。夫の殉教に敬意を表してギンワ氏が同党を結成した。
ギンワ氏は、PPPの新総裁になったビラワル・ブット・ザルダリ(Bilawal Bhutto Zardari)氏(19)に秋波を送る。ビラワル氏をいかにして自身の政党に誘うかについて尋ねられると、「愛、親愛の情、そして経験を駆使するつもりだ。彼が(オックスフォード大学を卒業して)パキスタンに帰国する際には、PPPよりもわが党の方が魅力的に見えるのではないか」と答えた。
ブット家が2代にわたり総裁を歴任してきたPPPがこうした動きを容認するはずはない。ビラワル氏は8日、総裁就任後初の会見をロンドン(London)で開き、「党(PPP)は母親に近い血縁者を必要としていた」と就任理由を語った。
■元首相暗殺で一族の結束なるか
ギンワ氏が、夫の死はベナジル氏に責任があるとの立場をとる一方、ブット元首相はレバノン生まれのギンワ氏を「レバノン人のベリーダンサー」と揶揄したとされる。
2人が同じ選挙区から立候補して両家の亀裂が一段と深まる中、前月27日のブット元首相暗殺事件はギンワ氏のかたくなな心を和らげたようだ。葬儀に出席したギンワ氏は「ベナジルがいなかったらPPPは分裂していただろう」と語った。
とはいえ、ビラワル氏への思い入れは強いようだ。「ほかの政党のことは知らないが、わたしが『全員参加で共に成し遂げていく』政党作りをしていると知ったら、彼は興味を持つと思う。ビラワルは、祖父のズルフィカル・アリ・ブット(Zulfikar Ali Bhutto)元首相の正当な後継者だから、わが党は彼を歓迎する」
実際、ギンワ氏はビラワル氏のことを感じの良い青年だと褒める。「骨肉の争い」などどこ吹く風で、人なつこく、おしゃべり好きで、ギンワ氏にも抱擁やキスを求めるような子どもなのだという。
ビラワル氏のいとこの1人で、ギンワ氏の娘でもあるファティマ・ブット(Fatima Bhutto)氏(25)も、ベナジル氏の有力な後継者と目されてきた人物だ。パキスタンのメディアでしばしば「将来の国家元首」ともてはやされてきたファティマ氏は、おば(=ブット元首相)への容赦ない批判を展開していた。例えば、前年10月のブット氏帰国パレードの最中に多数の死者を出した爆弾テロについて、ファティマ氏は「(ベナジル)ブット氏には、自身の私的なショーのために多数の命を犠牲にした責任がある」と言明している。
しかしファティマ氏もベナジル氏の葬儀には出席した。大粒の涙を流しながら「(ベナジル氏との)関係は『複雑』なものだったが、今はショックで打ちのめされている」と語ったという。
ギンワ氏は1979年にズルフィカル・アリ・ブット元首相が処刑されて以来、血と憎悪にまみれてきたブット一族の確執を取り除き、再び結束させるのが重要だと話す。
「なぜ争わなければならないのか?(ビラワル氏やファティマ氏などの)若い世代が、大人たちに『これまでの争いにくみするな』と言ってくれるようになればいい。彼らは、うまくやっていく方法を知っていると思う」とギンワ氏は語った。(c)AFP/Danny Kemp
パキスタン南部ラルカナ(Larkana)の自宅でインタビューに応じたギンワ氏は、ブット元首相の弟の故ムルタザ・ブット(Murtaza Bhutto)氏の妻。ムルタザ氏が1996年に暗殺されて以来、両家は絶縁状態にある。
ギンワ氏は、PPPのライバル政党である地域政党・人民党シャヒード派の代表で、来月18日の総選挙への立候補を表明している。シャヒードは「殉教者」の意味。夫の殉教に敬意を表してギンワ氏が同党を結成した。
ギンワ氏は、PPPの新総裁になったビラワル・ブット・ザルダリ(Bilawal Bhutto Zardari)氏(19)に秋波を送る。ビラワル氏をいかにして自身の政党に誘うかについて尋ねられると、「愛、親愛の情、そして経験を駆使するつもりだ。彼が(オックスフォード大学を卒業して)パキスタンに帰国する際には、PPPよりもわが党の方が魅力的に見えるのではないか」と答えた。
ブット家が2代にわたり総裁を歴任してきたPPPがこうした動きを容認するはずはない。ビラワル氏は8日、総裁就任後初の会見をロンドン(London)で開き、「党(PPP)は母親に近い血縁者を必要としていた」と就任理由を語った。
■元首相暗殺で一族の結束なるか
ギンワ氏が、夫の死はベナジル氏に責任があるとの立場をとる一方、ブット元首相はレバノン生まれのギンワ氏を「レバノン人のベリーダンサー」と揶揄したとされる。
2人が同じ選挙区から立候補して両家の亀裂が一段と深まる中、前月27日のブット元首相暗殺事件はギンワ氏のかたくなな心を和らげたようだ。葬儀に出席したギンワ氏は「ベナジルがいなかったらPPPは分裂していただろう」と語った。
とはいえ、ビラワル氏への思い入れは強いようだ。「ほかの政党のことは知らないが、わたしが『全員参加で共に成し遂げていく』政党作りをしていると知ったら、彼は興味を持つと思う。ビラワルは、祖父のズルフィカル・アリ・ブット(Zulfikar Ali Bhutto)元首相の正当な後継者だから、わが党は彼を歓迎する」
実際、ギンワ氏はビラワル氏のことを感じの良い青年だと褒める。「骨肉の争い」などどこ吹く風で、人なつこく、おしゃべり好きで、ギンワ氏にも抱擁やキスを求めるような子どもなのだという。
ビラワル氏のいとこの1人で、ギンワ氏の娘でもあるファティマ・ブット(Fatima Bhutto)氏(25)も、ベナジル氏の有力な後継者と目されてきた人物だ。パキスタンのメディアでしばしば「将来の国家元首」ともてはやされてきたファティマ氏は、おば(=ブット元首相)への容赦ない批判を展開していた。例えば、前年10月のブット氏帰国パレードの最中に多数の死者を出した爆弾テロについて、ファティマ氏は「(ベナジル)ブット氏には、自身の私的なショーのために多数の命を犠牲にした責任がある」と言明している。
しかしファティマ氏もベナジル氏の葬儀には出席した。大粒の涙を流しながら「(ベナジル氏との)関係は『複雑』なものだったが、今はショックで打ちのめされている」と語ったという。
ギンワ氏は1979年にズルフィカル・アリ・ブット元首相が処刑されて以来、血と憎悪にまみれてきたブット一族の確執を取り除き、再び結束させるのが重要だと話す。
「なぜ争わなければならないのか?(ビラワル氏やファティマ氏などの)若い世代が、大人たちに『これまでの争いにくみするな』と言ってくれるようになればいい。彼らは、うまくやっていく方法を知っていると思う」とギンワ氏は語った。(c)AFP/Danny Kemp