【1月4日 AFP】3日にアイオワ(Iowa)州で口火を切った2008年米大統領選挙の候補者指名争いで、元ファーストレディーのヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)上院議員が民主党候補として1勝目を上げられなかったことで、同党予備選は混戦模様を呈している。

 クリントン氏を抑えて勝利したバラク・オバマ(Barack Obama)上院議員は「米国に変化を」を合い言葉に、住民の大半が白人のアイオワ州で、同国初の黒人大統領誕生に向け第一歩を踏み出した。

■ニューハンプシャー州も落とせばクリントン氏は脱落か

 オバマ氏の1勝を受け政治アナリストらは、8日に行われるニューハンプシャー(New Hampshire)州党員集会で勝利を収められなければクリントン氏は候補者指名争いから脱落、アイオワ州で2位につけたジョン・エドワーズ(John Edwards)元上院議員にも勝機はないだろうと分析する。

 今回の民主党候補者指名争いについて、ニュージャージー(New Jersey)州ラトガーズ大学(Rutgers University)のロス・ベーカー(Ross Baker)教授(政治学)はAFPの取材に対し、次のように語った。

「指名候補になることが最重要課題のときに候補に選ばれないのは、選挙戦から脱落することを意味する。クリントン氏は、直ちに党員集会で1勝を収める必要がある。アイオワ州とニューハンプシャー州の両方で負ければ、その後の候補者指名争いを戦い抜くことはまず無理だ。表舞台で活躍してきたクリントン氏にとって、この予備選は国民投票のようなものと言える。オバマ氏の強みのひとつは、8年間にわたって米国を支配してきた政治の二極化を越えられる可能性を秘めている点だ」

 これまで11月の大統領選の民主党最有力候補とみられていたクリントン氏は、記録的な参加者を集めたアイオワ州党員集会で3位に甘んじた。

■イラク侵攻に賛成票、有権者は忘れず

 同州の民主党員の大半は、イラク戦争に断固反対の姿勢を示しており、クリントン氏が2002年、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領によるイラク侵攻計画に賛成票を投じたことを忘れてはいない。

 キニピアック大学(Quinnipiac University)世論調査局のピーター・ブラウン(Peter Brown)氏は、アイオワ州党員集会ではクリントン氏の中道的な経済政策がネックとなり、オバマ氏とエドワーズ氏に票が集まったとみる。

■「始まったばかり」との声も

 ブラウン氏は「アイオワ州の党員は各候補者をじっくり検討した結果、クリントン氏は資質に欠けていると判断した」と指摘。その一方で、「だが米国は50州から成る国で、各州の人口統計は同じではない。クリントン氏にとってアイオワ州は勝機のある州ではなかったということだろう」とも語り、「候補者指名争いは始まったばかり」というクリントン氏本人の主張を支持する見方を示した。

 さらに同氏は、クリントン氏が全国規模の世論調査で首位を維持していることを踏まえ、「今回はオバマ氏がクリントン氏の無敵のオーラに傷をつけたかたちだが、彼もまだ最有力候補とは言えない」と付け加えた。

 RealClearpolitics.comがニューハンプシャー州でこれまでに実施した世論調査の平均値では、クリントン氏が34%の支持率を獲得してトップに立ち、オバマ氏が27%で2位、エドワーズ氏が18%で3位にそれぞれつけている。

 一方、同調査での共和党候補の支持率平均は、ジョン・マケイン(John McCain)上院議員が31.3%でトップ、ミット・ロムニー(Mitt Romney)前マサチューセッツ(Massachusetts)州知事が28.8%、ルドルフ・ジュリアーニ(Rudolph Giuliani)前ニューヨーク(New York)市長が10%、マイク・ハッカビー(Mike Huckabee)前アーカンソー(Arkansas)州知事が9.5%となっている。(c)AFP/Charlotte Raab