【1月4日 AFP】2008年米大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)上院議員への支持を表明しているボブ・ケリー(Bob Kerrey)前上院議員が前年12月、米ワシントン・ポスト(Washington Post)紙の取材で、同党候補バラク・オバマ(Barack Obama)上院議員の家族がイスラム教徒であることに言及。それまでも繰り返しささやかれていた「キリスト教徒であるオバマ氏にイスラム教徒とつながりがある」との噂をさらに増長し、その後インターネットをにぎわせる結果となっている。

 ケリー氏はワシントン・ポスト紙に対し、「オバマ氏の名前がバラク・フセイン・オバマ(Barack Hussein Obama)で、彼の父親がかつてイスラム教徒、父方の祖母がイスラム教徒であるのは良いことだと思う。そうした経験は重要だ」と語った。

 その後ケリー氏は米CNNに対し、「私自身は心からオバマ氏を尊敬しているが、オバマ氏とイスラム教を結びつける中傷行為が続いている」と述べ、その例として「人々がオバマ氏を『影なき狙撃者』のイスラム教徒版であるかのように反応している」ことを挙げた。

『影なき狙撃者』は、冷戦時代、米国の重要政治家を暗殺するよう共産主義者に洗脳された米国人を描いた小説で、映画化もされている。

 一方、オバマ氏は12月21日、自身が持つ背景により、よりよい大統領になることができると述べ、ケリー氏のコメントを一蹴(いっしゅう)した。

 オバマ氏は米NBCに対し、「ボブ・ケリー氏がわたしを侮辱しようとしたとは考えていない。わたしがなぜ大統領としての資格があるかについて言及したコメントの一部が抜き出されてしまったと、ボブは説明している」と語った。

 オバマ氏は幼少期の4年間をイスラム教徒が大半を占めるインドネシアで母親とイスラム教徒の義理の父親と過ごしたが、両親は信心深くなく、オバマ氏自身は成人してからキリスト教徒として洗礼を受けた。

 騒ぎの発端となったのは、11月29日のワシントン・ポスト紙の「オバマ氏のイスラム教とのつながり、信仰へのうわさに拍車を掛ける」との見出しだった。その後ケリー氏がオバマ氏とイスラム教とのつながりについてコメントすると、同紙電子版の見出しは「オバマ氏のイスラム教徒のつながりを利用して政敵がうわさに拍車を掛ける」と書き換えられた。(c)AFP