【1月1日 AFP】北朝鮮の朝鮮労働党、朝鮮人民軍、青年同盟の3機関紙は1日、年頭の国政運営方針である新年共同社説を発表し、2008年を経済・軍事力を強化する年と位置づける一方で、期限切れを迎えた核計画申告についての言及はなかった。
 
 社説は、2008年を「偉大な歴史的改革がもたらされる年」と称賛。「人民軍および北朝鮮人民の精神力を最大活用することで、核兵器に勝る力が得られる」と述べている。 また、「全精神を軍事に集中させ、人民軍に加え『赤い青年近衛隊』『労農赤衛隊』の強化に努める。これにより北朝鮮国家は不落の要塞となる」と述べ、軍事先行の原則に基づいて社会主義政策を進めるとした「先軍政治」を強調した。

 その半面で、「北朝鮮は国際社会と友好関係の発展に向けてまい進する」などと平和志向姿勢も同時に強調している。

 また、経済強化のほか、炭鉱、電力、鉄鋼などの基幹産業や科学技術の強化、前年の洪水による穀物被害をうけた食糧状況の改善にも触れている。社説は、目下の最優先課題は食糧問題の解決だとして、生産性の高いイネ種の作付けや農業へ先進技術を導入するなどの努力を農業従事者や当局関係者に求めた。

 一方で、北朝鮮が核開発計画を廃棄する交換条件として米国が北朝鮮をテロ支援国家リストから外すとしていたにも関わらず、依然として北朝鮮への敵視政策を続ける米国を非難した。このほか、毎年のことながら、米韓軍事演習の停止や韓国内からの米軍基地の撤退などを要求した。

 北朝鮮の核問題を協議する6か国協議で、北朝鮮は2007年末までにすべての核計画を申告するとしていたが、結局、期限を過ぎても同国からの申告はなく、米国、日本、韓国はそれぞれ北朝鮮に対し遺憾の意を表明している。

 米国務省は、6か国協議の米首席代表クリストファー・ヒル(Christopher Hill)国務次官補が同協議参加国の日本、韓国、中国、ロシア代表らと今後の対応を協議する方向で調整中だと明かした。い(c)AFP/Simon Martin