【12月28日 AFP】(一部更新)パキスタンのベナジル・ブット(Benazir Bhutto)元首相が27日、暗殺されたことで、同国の情勢は混迷の色が一層深まっている。総選挙が予定通り実施されるかどうかは微妙な状況で、15日解除されたばかりの非常事態宣言が再び発令される可能性も出てきた。

 ペルベス・ムシャラフ(Pervez Musharraf)大統領は暗殺を「国家の悲劇」と表し、「われわれと敵対するテロリストの残忍な手口」と強く非難。「テロリストを排除するため」として、国民が団結して協力していく必要があると述べた。また、パキスタン全土で3日間の服喪を行うと発表した。

 ムシャラフ大統領は事件発生後ただちに緊急会合を召集して、事件について「あらゆる側面を考慮」し、パキスタンの法と秩序を守るため可能な限りの対策を取るよう治安部隊に指示した。

 ムハンマド・ミアン・ソームロ(Mohammad Mian Soomro)暫定首相も、「卑劣な暴力行為に責任ある者たちはパキスタンの友ではありえない」と事件を非難。犯行グループ特定のためにも、国民が平静を保つよう求めた。

 一方、総選挙でブット氏最大のライバルと目されていた野党パキスタン・イスラム教徒連盟シャリフ派(Pakistan Muslim League-NawazPML-N)ナワズ・シャリフ(Nawaz Sharif)元首相は、自党の選挙ボイコットを表明。ムシャラフ大統領の即時辞任を求めるとともに、ブット氏の安全を確保しなかったとして政府の対応を非難した。

 また、全国民と悲しみを共有し、ブット氏の闘いを引き継ぐと述べ、国民に向けてブット氏暗殺に対する全国規模の抗議行動を28日に行うことを呼びかけた。
 
 犯行声明は今のところ出されていないが、ブット氏は以前、自身の暗殺を計っている者がパキスタン諜報機関内に存在すると語っており、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)を含むイスラム過激派組織から殺害の脅迫を受けたことも明らかにしていた。(c)AFP