【12月20日 AFP】(一部更新、写真追加)韓国大統領選で当選した保守系最大野党ハンナラ党(Grand National PartyGDP)の李明博(イ・ミョンバク、Lee Myung-Bak)前ソウル市長(66)は一夜明けた20日、当選後初の記者会見を行い、経済の活性化を図るとともに、北朝鮮には非核化と人権問題の解決を求めていく方針を明らかにした。

 韓国の有権者は、財閥大手の現代建設(Hyundai)の社長を務めた経験を持つ李氏の経済再生手腕に期待し、前市長の株価操作疑惑には目をつむり実利を選んだ形となった。保守政権の復活は10年ぶりで、初の財界出身大統領となる。

■理念より実用主義

 大統領選を圧倒的大差で制した李氏は、「国民は理念よりも実用主義を選択した」と語った。 

 韓国国民が現在、若年層の高失業率、格差の拡大、不動産の高騰などの問題に直面するなか、李氏は「改革を通じて、国民の国政への信頼を取り戻す」と意気込みを語った。

 韓国経済が低迷している要因は、現政権の反市場主義的な環境によるものだとして、盧武鉉(ノ・ムヒョン、Roh Moo-Hyun)大統領を批判。自身が大統領に就任すれば、このような雰囲気は一掃されると確約し、財界指導者や海外の投資家らと直接会談する意向を示した。

■朝鮮半島の非核化

 対北朝鮮政策については、「朝鮮半島の非核化と南北和平の実現を目指す」と非核化実現に強い決意を示した上で、経済援助や南北交流の前提としては、「まず、北朝鮮が核開発計画を廃棄することが先決」と強調した。

 また李氏は、「過去の政権が目をそらせてきた」北朝鮮の人権問題についても、「避けては通れない問題だ」として改善を強く求めていく意向を表明。「北朝鮮への批判を遠慮すべきではない。むしろ誠意ある忠言は北朝鮮社会の健全化に貢献する」と語った。

 北朝鮮が核開発計画を完全に廃棄することにより、真の南北交流がすべての分野において促進できるとも述べ、非核化すれば北朝鮮が現体制を維持しながら、北朝鮮人民の生活を向上させることができると訴えた。

 さらに李氏は、北朝鮮の核問題を協議する6か国協議においても、積極的な役割を果たしたいとの意欲を示した。

 北朝鮮は、同協議の合意に従い核施設の無能力化に着手したが、核計画の完全な申告は遅れている。

■疑惑の潔白に自信

 一方で、李氏の選挙戦に影を落とした2001年の株価操作事件への関与疑惑について、記者会見では言及しなかったが、記者会見後のコメントで、同事件について自身の潔白への自信を示した。

 同事件については、検察から独立した弁護士を特別検事に任命し捜査する「特別検事法案」が国会で可決。ハンナラ党は盧大統領に拒否権を行使するよう求めたが、盧大統領は同法案を承認する意向を示している。

 これについてハンナラ党の姜在渉(カン・ジェソプ、Kang Jae-Sup)代表は、ラジオ番組のなかで「退任する大統領が、国を分裂させかねない手法をとるのはいかがなものか」と盧大統領を批判した。
 
 外交では、日米との同盟関係の強化を図る李氏は早速、駐韓日・米大使と会談。李氏は米大使に「盧政権下の5年間で、米韓関係は悪化の一途をたどり、信頼関係も損なわれた」と述べ、関係回復に努める意向を示した。

 李氏は、2008年2月25日、正式に韓国大統領に就任する。(c)AFP/Park Chan-Kyong