【12月16日 AFP】南米ボリビアで15日、同国を構成する9県のうち富裕な4県で自治が宣言される見通しであることから、情勢が不安定化する恐れが出ている。一方、エボ・モラレス(Evo Morales)大統領は、軍の介入を警告している。

 同日、東部のサンタクルス(Santa Cruz)、タリハ(Tarija)、ベニ(Beni)およびパンド(Pando)の各県で抗議デモが開催され、県知事が正式に自治を宣言する見通しだ。

 法律上の首都スクレ(Sucre)があるチュキサカ(Chuquisaca)県でも、自治の賛否を問う住民投票の実施を求める嘆願書の署名を集めている。コチャバンバ(Cochabamba)県は態度を決めかねている。

 モラレス大統領は憲法を改正し、自身の権限拡大、および富裕な県の財産を貧しいアンデス山地の県に再分配しようとしているが、各県知事はこの動きに反対している。

 モラレス大統領は14日、自治が宣言されれば軍事介入すると警告したが、国防相は非常事態の宣言の可能性については否定している。

 富裕な4県は、同国国内総生産の3分の2、人口850万の3分の1を占めている。また、住民には先住民と白人の混血が多い。一方、モラレス大統領の出身地である山間部は先住民が多数を占めており、両者の対立は政治および経済に加え、人種的側面も含んでいる。

 ボリビアは1825年の独立以来、内戦や軍事政権、クーデターなどに苦しんできた。民主化したのは比較的最近で、安定した文民政府ができたのは1982年になってから。同国は天然ガスや鉄、マグネシウムの埋蔵量が豊富であるにもかかわらず、南米の最貧国となっている。(c)AFP