【12月12日 AFP】仏国民議会で11日、訪仏中のリビアの最高指導者ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐の議会訪問を受け、野党議員および一部の与党議員が議会をボイコットした。カダフィ大佐は今回の訪仏で、武器売却を含む数十億ドル規模の契約や人権侵害をめぐり厳しい批判にさらされている。

 同大佐は与党・国民運動連合(Union pour un Mouvement PopulaireUMP)のベルナール・アコワイエ(Bernard Accoyer)国民議会(下院)議員団長によって出迎えられたが、野党社会党(Parti SocialistePS)議員に加え一部のUMP議員も、リビアでの人権問題に抗議して議会出席を拒否した。

 社会党のジャン・マルク・エロー(Jean-Marc Ayrault)下院議員団長は憤りをあらわにし、「民主主義国家の議会で、独裁者に対し赤いじゅうたんを広げる必要はない」と主張した。

 また、ラマ・ヤド(Rama Yade)外務・人権担当閣外大臣も、リビアで行われている拷問や恣意的な拘束を非難し、「フランスは指導者だろうがテロリストだろうが、犯罪によって浴びた血を好き勝手に拭き取らせるべきではない」と主張した。

■サルコジ大統領は「擁護」

 一方、ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領は、カダフィ大佐はすでにテロ支援および違法な武器の開発を放棄しており、重要なのは同大佐が国際社会で社会的地位を得られるよう後押しすることだと主張。

 また、ベルナール・クシュネル(Bernard Kouchner)外相も、「重要なのは、テロを放棄した国々をわれわれのもとに引き寄せることだ」とし、カダフィ大佐の議会訪問を擁護した。

 カダフィ大佐の訪仏に先立ち、7月、リビアで多数の子供をエイズウイルス(HIV/AIDS)に感染させたとして死刑判決を受けたブルガリア人医療関係者ら6人が釈放されている。(c)AFP