帰国のシャリフ氏が総選挙出馬、パキスタン政局さらに混乱か
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【11月26日 AFP】(一部更新)国外追放から前日7年ぶりに帰国したパキスタンの野党指導者ナワズ・シャリフ(Nawaz Sharif)元首相が、1月に予定される総選挙へ向けて26日、立候補届けを提出した。
また、弟で共に亡命していたシャバズ・シャリフ(Shahbaz Sharif)元パンジャブ(Punjab)州首相も出馬を届け出た。しかし、非常事態宣言が解除されないまま総選挙に突入した場合は、シャリフ元首相が総裁を務める野党はボイコットするだろうと表明した。
前日、東部ラホール(Lahore)の空港に到着したシャリフ氏は、数千人の支持者に迎えられ、市内の自宅まで行進した。夜通しの祝賀の後、同氏は休養し、家族や党幹部らと数時間を過ごした。
■非常事態宣言の解除を求める
到着後、自身の本拠地ラホールの守護神を祭る場所で演説したシャリフ氏は、1999年のクーデターで自身を国外追放したペルベズ・ムシャラフ(Pervez Musharraf)大統領に対し「ムシャラフ氏はパキスタンを災難に陥れている」と批判し、4週目を迎える非常事態宣言を解除するよう求めた。
10月のベナジル・ブット(Benazir Bhutto)元首相帰国に続き、亡命先からの有力政治家の相次ぐ帰国は、ムシャラフ大統領に非常事態の解除を迫る圧力となりつつある。
10月に実施されたパキスタン大統領選挙では、軍職を兼任するムシャラフ氏の立候補資格などをめぐり、パキスタン最高裁への違憲審理請求が相次いだが、非常事態宣言に伴いムシャラフ氏に批判的な判事らが解任された後の最高裁は、同氏の当選を認める判断を下した。大統領任期は今後5年。ムシャラフ氏は12月1日に軍職を辞し、文民大統領として宣誓すると宣言している。
マリク・モハマド・カユーム(Malik Mohammad Qayyum)司法長官は出演した国営放送の番組で、ムシャラフ氏の宣誓式は29日に行われる予定だと述べた。26日、同長官執務室に取材したが、長官は体調不調との理由で応じなかった。
■野党連合か総選挙ボイコットか、割れる野党陣営
パキスタンの野党陣営は、総選挙をボイコットするか否かで2つに割れている。シャリフ氏の帰国はそうした政治権力争いに拍車をかけるものとみられている。特にブット氏が提案している野党連合の結成にシャリフ氏が応じた場合、ムシャラフ氏率いる与党から離反組が生まれることは確実視されており、ムシャラフ氏にとって大きな障害となる。
一方で、ムシャラフ氏がシャリフ氏の帰国を許可した背景には、野党陣営の票割れを期待しているためとの見方もある。しかしシャリフ氏自身は25日に「ムシャラフ氏とはいかなる取引も行っていない。私の相手はパキスタン国民だけだ」と述べるなど、自身の行動が与党に利するとする分析を否定する。
ムシャラフ氏、ブット氏は過去長きにわたる政敵だが、共に2回の首相経験者であり、これまでにもムシャラフ氏に対抗する政策を軸とした共同戦略を策定しようと協議したことはある。しかし専門家は、2人の同盟関係が長続きするものとは見ていない。
宗教的にはシャリフ氏は保守的な一方、ブット氏は世俗的な指導者。国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)やイスラム原理主義組織タリバン(Taliban)との戦いにおける現在のパキスタンの役割を維持したい米国から、ブット氏は「親欧米派」とみなされている。
さらに、シャリフ氏およびブット氏がこれまでに度々けん制してきたように、総選挙をボイコットするのかどうかは重要な問いだ。
野党陣営がボイコットに出れば、ムシャラフ氏は国際社会における批判派に対し、総選挙の実現を通じて「パキスタンに民主主義を回復している」と証明する機会を失う。
反ムシャラフ派は、総選挙への参加は非常事態を正当化するに等しいと主張する。
ブット氏は家族の故郷の地ラルカナ(Larkana)で26日、立候補届けを終えている。(c)AFP/Rana Jawad
また、弟で共に亡命していたシャバズ・シャリフ(Shahbaz Sharif)元パンジャブ(Punjab)州首相も出馬を届け出た。しかし、非常事態宣言が解除されないまま総選挙に突入した場合は、シャリフ元首相が総裁を務める野党はボイコットするだろうと表明した。
前日、東部ラホール(Lahore)の空港に到着したシャリフ氏は、数千人の支持者に迎えられ、市内の自宅まで行進した。夜通しの祝賀の後、同氏は休養し、家族や党幹部らと数時間を過ごした。
■非常事態宣言の解除を求める
到着後、自身の本拠地ラホールの守護神を祭る場所で演説したシャリフ氏は、1999年のクーデターで自身を国外追放したペルベズ・ムシャラフ(Pervez Musharraf)大統領に対し「ムシャラフ氏はパキスタンを災難に陥れている」と批判し、4週目を迎える非常事態宣言を解除するよう求めた。
10月のベナジル・ブット(Benazir Bhutto)元首相帰国に続き、亡命先からの有力政治家の相次ぐ帰国は、ムシャラフ大統領に非常事態の解除を迫る圧力となりつつある。
10月に実施されたパキスタン大統領選挙では、軍職を兼任するムシャラフ氏の立候補資格などをめぐり、パキスタン最高裁への違憲審理請求が相次いだが、非常事態宣言に伴いムシャラフ氏に批判的な判事らが解任された後の最高裁は、同氏の当選を認める判断を下した。大統領任期は今後5年。ムシャラフ氏は12月1日に軍職を辞し、文民大統領として宣誓すると宣言している。
マリク・モハマド・カユーム(Malik Mohammad Qayyum)司法長官は出演した国営放送の番組で、ムシャラフ氏の宣誓式は29日に行われる予定だと述べた。26日、同長官執務室に取材したが、長官は体調不調との理由で応じなかった。
■野党連合か総選挙ボイコットか、割れる野党陣営
パキスタンの野党陣営は、総選挙をボイコットするか否かで2つに割れている。シャリフ氏の帰国はそうした政治権力争いに拍車をかけるものとみられている。特にブット氏が提案している野党連合の結成にシャリフ氏が応じた場合、ムシャラフ氏率いる与党から離反組が生まれることは確実視されており、ムシャラフ氏にとって大きな障害となる。
一方で、ムシャラフ氏がシャリフ氏の帰国を許可した背景には、野党陣営の票割れを期待しているためとの見方もある。しかしシャリフ氏自身は25日に「ムシャラフ氏とはいかなる取引も行っていない。私の相手はパキスタン国民だけだ」と述べるなど、自身の行動が与党に利するとする分析を否定する。
ムシャラフ氏、ブット氏は過去長きにわたる政敵だが、共に2回の首相経験者であり、これまでにもムシャラフ氏に対抗する政策を軸とした共同戦略を策定しようと協議したことはある。しかし専門家は、2人の同盟関係が長続きするものとは見ていない。
宗教的にはシャリフ氏は保守的な一方、ブット氏は世俗的な指導者。国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)やイスラム原理主義組織タリバン(Taliban)との戦いにおける現在のパキスタンの役割を維持したい米国から、ブット氏は「親欧米派」とみなされている。
さらに、シャリフ氏およびブット氏がこれまでに度々けん制してきたように、総選挙をボイコットするのかどうかは重要な問いだ。
野党陣営がボイコットに出れば、ムシャラフ氏は国際社会における批判派に対し、総選挙の実現を通じて「パキスタンに民主主義を回復している」と証明する機会を失う。
反ムシャラフ派は、総選挙への参加は非常事態を正当化するに等しいと主張する。
ブット氏は家族の故郷の地ラルカナ(Larkana)で26日、立候補届けを終えている。(c)AFP/Rana Jawad