【11月24日 AFP】レバノンで23日、親シリア派と反シリア派間の対立により同日予定されていた新大統領選出が再度延期、これにより政権の空白状態が発生し、政治的混乱が加速する恐れが出てきた。エミール・ラフード(Emile Lahoud)現大統領の任期は、同日中に期限切れとなる。

 大統領府によると、新大統領が未だに選出されないままであるが、ラフード大統領は予定通り退任、また治安維持権限は政府軍に委譲済みだという。一方、反シリアの国会多数派は、その権限は憲法上大統領に認められていないとして退けた。

 親欧米派の与党多数派と、イスラム教シーア(Shiite)派原理主義の親シリア派、ヒズボラ(Hezbollah)率いる野党は同日、新大統領選出の最後の機会として、国会に召集される予定だったが、大統領選出は再度延期。2か月で5度目の延期となった。

 この結果、レバノンの政治的混乱が加速する恐れが浮上し、1975-90年の内戦以来最悪の危機を迎える可能性も出てきた。現在、ベイルート(Beirut)市内には、治安維持のため戦車や兵士が配置されている。

 同国の憲法62条によると、国会で新大統領候補が選出されない場合、大統領の権限は政府に委譲されることになっているが、ラフード現大統領は、フアド・シニオラ(Fuad Siniora)首相の政府へは行政権を委譲しないと言明している。一方、シニオラ首相はそれを認めていない。(c)AFP/Jocelyne Zablit