【11月21日 AFP】アリステア・ダーリング(Alistair Darling)英財務相は20日、児童手当の給付を受けた約2500万人の個人情報が入ったCDが紛失し、この件の責任をとって同省歳入税関庁(HM Revenue & Customs)のPaul Gray長官が辞任を表明したと発表した。

 同財務相によると、Gray長官はこの件について深い遺憾の意を表明したというが、資金繰りが悪化した英住宅金融大手ノーザン・ロック(Northern Rock)の救済問題などをめぐり、すでに危うい立場にいた。

 ダーリング財務相は議会に提出した声明で、CDには725万世帯の氏名、住所、生年月日、および銀行口座などの詳細が含まれていると説明。また、謝罪を述べる一方で、データが悪用された形跡はないと強調した。

 説明によると、歳入税関庁の部下が10月、パスワードで保護されたCDを会計検査院(National Audit Office)に正しい手続きを取らないで送付したという。そのCDは、外注先の宅配業者によって配達されるはずだったが、書留扱いにせずに送付、会計検査院へは届かなかった。

 CDの紛失は約3週間たって初めて上司に報告された。ダーリング財務相によると、同財務省が報告を受けたのは11月10日で、同省と会計検査院での捜索を命令したが、CDは発見できなかった。

 Gray長官は、8か月前に就任したばかりだった。Gray長官の前任者は、数百万ポンドに上る不正と税控除制度の失敗により辞任した。(c)AFP