【11月19日 AFP】東南アジア諸国連合(Association of Southeast Asian NationsASEAN)の外相会議が19日、シンガポールで開催され、地域の人権や民主主義を促進させる「ASEAN憲章」の最終草案を了承した。同憲章はASEANを欧州連合(EU)のような規則・法律に基づく組織に変換するもので、20日に開催される首脳会議で加盟10か国によって正式に調印される。

 マレーシアのサイドハミド・アルバル(Syed Hamid Albar)外相はこの憲章によって「設立から40年目にしてASEANに実体が備わる」と語り、各国の外相は1年以内に批准することに合意したことを明らかにした。

 この憲章によって、ASEAN史上初めて原則や規定が設けられるだけでなく、人権機関の設置も予定されている。ASEAN地域では、9月に起きた反軍政デモに対するミャンマー政府の武力弾圧に対する批判がいまだに収まっていない。首脳会議でも、加盟国のミャンマーに対する批判が相次ぐものと見られている。

 一方、民主化活動家らはこの憲章案を不十分だとして認めていない。これは、ミャンマー政府が改革や民主化指導者アウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)さんの解放を拒否しているにもかかわらず、ASEAN加盟国としての資格停止や追放といった制裁措置が予定されていないからだという。

 ミャンマーのニャン・ウィン(Nyan Win)外相は、最終草案が正式了承された外相会議後にASEAN憲章に合意したことを明らかにするとともに、「必ず調印する」と強調した。

 一方、フィリピンのアルベルト・ロムロ(Alberto Romulo)外相は前日の18日に、「ASEAN憲章が調印されても、これまでの10年間同様、われわれを無視するつもりなのではないか」と語り、ミャンマーの姿勢について懐疑的な姿勢を見せるとともに、「一度調印したら、必ず実行しなければいけない」とくぎを刺す発言を行っている。

 ASEAN憲章は加盟国に「民主主義の強化、良い統治(ガバナンス)や法治の徹底、人権と基本的自由の保護」を促し、域内の核兵器の排除、貧困の緩和、環境保護、域内での貿易・投資・人材交流の自由化を可能にする市場統合への取り組みを求めている。(c)AFP/Jason Gutierrez