【11月16日 AFP】ロシア連邦会議(上院)は16日、欧州地域での通常兵器の上限を定めた欧州通常戦力(Conventional Forces in EuropeCFE)条約の履行停止法案を満場一致で可決した。欧米諸国や北大西洋条約機構(NATO)は強く反発している。

 CFE条約は1990年に調印され、欧州における戦車などの兵器や地上兵力の配備の上限を定めている。

 この法案は12月12日以降、条約の履行停止を認めたもので、前週に国家会議(下院)を通過していた。

 ただしロシア通信(RIA)によると、プーチン大統領は理論的にはCFE履行停止法案の成立を覆すこともできるという。

■ロシア側は「論理的選択」と肯定評価

 ユーリー・バルエフスキー(Yury Baluyevsky)国防第1次官兼参謀総長(上級大将)は法案通過について「政治的、軍事的観点から正しく論理的な選択だ」と述べた。タス通信(ITAR-TASS)が伝えた。

■NATO諸国は履行停止を批判

 今回の脱退問題は、国際社会での地位回復を目指すプーチン政権とNATO加盟国との関係悪化を反映している。

 NATOはCFE条約の履行停止に動くロシア政府を批判していた。

 ロシア政府は、1999年の修正案を批准したのは同国だけであり、CFEは無効だと主張。

 一方、米国を始めとするNATO加盟国は、批准しなかったのは旧ソ連領のグルジアとモルドバにロシア軍が駐留しているためだと反論していた。

 米国のミサイル防衛(MD)システムの欧州配備計画を巡り、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は7月13日にCFE条約の履行停止を宣言していた。(c)AFP/Sebastian Smith