【11月8日 AFP】パキスタンのペルベズ・ムシャラフ(Pervez Musharraf)大統領が発令した非常事態宣言に対し、国民に抗議デモを呼びかけ、対決姿勢を鮮明にしたベナジル・ブット(Benazir Bhutto)元首相だが、政治評論家や他の政党の間には「表面的なものにすぎず、連立政権構想をまだ捨てていない」との見方がくすぶっている。

 米英がブット氏とムシャラフ大統領の早期会談を支持する内容の報道がされたことから、ブット氏の強烈な批判は真の狙いを隠すものとの疑惑は強まった。

 パキスタンの有力英字紙デーリー・タイムズ(Daily Times)の編集長Najam Sethi氏はブット氏について、ムシャラフ大統領と連立内閣を組んでも、自身は反民主主義との批判を受けることなく総選挙に臨めるよう、「大統領に圧力をかけている。そのため、連立協議は成立していないと見せかける必要がある」と分析する。

 一方、ラホール経営大学(Lahore's University of Management Sciences)のRasul Baksh Rais教授も、「ブット氏は動静を見守っており、どっちつかずの状態。大統領と協議し、一定条件のもとで平和的に政権を移行する構想を持っているとみるのが妥当だ」と述べている。

 ブット氏の7日の抗議デモ呼びかけに対し、パキスタン警察は同日、抗議デモに参加したブット氏支持者ら約400人を拘束するなど、両者の亀裂は深まっている。ただ、大統領とブット氏との直接会談の可能性は閉ざされていないとの政府筋情報もある。(c)AFP