【11月8日 AFP】ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領は7日、米バージニア州(Virginia)マウントバーノン(Mount Vernon)で、パキスタンのペルベズ・ムシャラフ(Pervez Musharraf)大統領に対し総選挙を予定通り行うとともに陸軍参謀総長を辞任するよう電話で伝えたことを明らかにした。ブッシュ大統領は同地でニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)仏大統領と会談を行っていた。

 4日の非常事態宣言以来、ブッシュ大統領や米政府関係者はムシャラフ大統領に対し、憲法に基づく政府を回復し民主主義路線に戻るよう声明などで繰り返し圧力をかけてきた。米政府内では、非常事態宣言を出した同大統領に対する不満が高まっている。

 一方で、米政府には「テロとの戦い」の主要同盟国であるパキスタンとの長期的な協力関係を無視することはできない。米国務省のジョン・ネグロポンテ(John Negroponte)副長官は、米議会下院外交委員会で、パキスタンは「必要不可欠な」パートナーで協力関係を維持していくことが「唯一の選択肢」だとの見解を示した。コンドリーザ・ライス(Condoleezza Rice)国務長官も同様の意見だと見られる。

 米国防総省は、パキスタンの保有する核兵器に懸念を示している。米統合参謀本部幹部は、今回の非常事態宣言を受けて、同国の核兵器が「主要な懸念事項であり、動向を注意深く見守っていく」と語る。

 パキスタンの総選挙は1月に予定されているが、非常事態宣言で憲法が停止、また抗議デモに対する当局の武力行使などで混乱が続く中、同政府は選挙実施時期について明確な発表は行っていない。(c)AFP/Lachlan Carmichel