【11月6日 AFP】非常事態宣言下にあるパキスタンの首都イスラマバード(Islamabad)で6日、携帯電話が使えなくなった。最高裁長官を解任されたイフティカル・ムハンマド・チョードリー(Iftikhar Muhammad Chaudhry)氏が携帯電話を使い、抗議活動を呼び掛けている最中だった。

 ペルベズ・ムシャラフ(Pervez Musharraf)大統領は3日、非常事態を宣言し、チョードリー氏を解任。同氏は法曹界に向けて抗議活動を呼び掛ける演説を行い、その模様は民放テレビでも放映された。

チョードリー氏が「弁護士たちはわたしのメッセージを広めてほしい。自分の身を犠牲にして憲法のため立ち上がるべき時が来た。これは違法、違憲の非常事態だと国民に伝えてほしい」と訴えると、背後から歓声が聞こえた。

 複数のAFP記者や目撃者によれば、演説開始の数分後にチョードリー氏が使っていた電話回線が切断され、イスラマバードの携帯電話がつながらなくなったという。

 1999年のクーデターで実権を握り、陸軍参謀長を兼任するムシャラフ大統領は、非常事態宣言発令の理由として、イスラム武装勢力の台頭とともに、司法による干渉を挙げていた。

 しかし政府には、ムシャラフ大統領が最多得票を獲得した10月6日の大統領選挙結果の適法性について近く最高裁が下すことになっていた司法判断に対する不安があった。

「軍政は、裁判所が自分たちに不利な判決を言い渡すことを恐れていた。しかし最高裁が常に何よりも憲法を尊重し、公正な司法判断を行ってきたことを、警察は分かっている」とチョードリー氏は語った。

 ムシャラフ大統領は3月にもチョードリー氏を解任しようとしたが、結果的にムシャラフ政権下の8年間で最大規模の抗議活動を招き、7月に最高裁が同氏の復職を命じていた。(c)AFP