【11月6日 AFP】歴代仏大統領のなかで最も親米的と評されるニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)仏大統領が、イラク戦争に異議を唱えたジャック・シラク(Jacques Chira)前大統領時代に冷え込んだ仏米関係の修復に意欲を示している。

 サルコジ大統領は6日、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領とワシントンD.C.(Washington D.C.)で会談する予定。両者が顔を合わせるのは、6月にドイツのハイリゲンダム(Heiligendamm)で開催された主要8か国(G8)首脳会議、8月に休暇で訪米したサルコジ大統領が米メーン(Maine)州のブッシュ大統領の別荘で昼食をともにして以来、3度目となる。

■対米関係の修復に意欲

 仏大統領府報道官は2日、サルコジ大統領の訪米日程を発表。同大統領の訪米目的は、2003年以来冷え込んでいる仏米関係の改善が目的だという。

 両首脳は6日にホワイトハウス(White House)で会談し、翌7日にもワシントンD.C.郊外のジョージ・ワシントン(George Washington)初代米大統領の旧居マウントバーノン(Mount Vernon)で再び会談する予定だ。

 会談では、地域紛争から地球規模での安全保障問題まで、あらゆる国際問題が話し合われる見込み。 

 このほかサルコジ大統領は米議会での演説も予定しており、米国民へのメッセージを発表する意向。

■イラク戦争などで意見の違いも

 イランの核問題、シリアによるレバノン干渉への批判などで両首脳の立場は一致する一方、フランス側はイラク戦争は誤りとの姿勢を崩しておらず、サルコジ大統領はブッシュ大統領にイラク撤退時期を明確にするよう求めるとみられる。また地球温暖化への取り組みについても両国の立場には隔たりがある。

■歴史的な友好関係と過度の対米接近への警戒が交錯

 米国の「独立戦争」でフランスが米国側について参戦したことから、米国にはフランスに対しては歴史的な恩義がある。

 一方で米仏の「歴史的な友好関係」を常に強調し続けるサルコジ大統領を苦々しい思いでみているフランス人も少なくない。

 野党社会党で国際関係を担当するPierre Moscovici議員はサルコジ氏を、親米姿勢を明確にし「ブッシュのプードル」と揶揄されたトニー・ブレア(Tony Blair)前英首相になぞらえる。

「米政府との真剣な対話を避けているサルコジ大統領は、非常に危険なゲームをしている。ブッシュ大統領がイランへの核爆弾投下を決定したら、どう対応するつもりなのか」(Moscovici氏)

■「米国の友人となるよう努力」

 しかし仏大統領府報道官によれば、同大統領は米国寄りの姿勢が仏国内での不人気につながる危険性についても十分認識しているという。

 2週間ほど前の答弁で、サルコジ大統領は「試練は始まった。わたしは米国の友人となるべく努力するつもりだ。このことで、わたしを責め立てないでほしい」と述べた。

「ポーランドを除いて、わが国と一度も戦争をしていない国がほかにあっただろうか?仏米間には憎みあう要因が何も存在しないのだ」(サルコジ大統領)

(c)AFP/Philippe Alfroy