【11月1日 AFP】2008年米大統領選の民主党の最有力候補、ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)上院議員の陣営は10月31日、公開討論会での民主党対立候補による「一斉攻撃」に対し、ウェブ上に掲載したビデオ映像などで反論した。

■対立候補がクリントン氏を一斉攻撃

 同日、ペンシルベニア(Pennsylvania)州フィラデルフィア(Philadelphia)の ドレクセル大学(Drexel University)で行われたNBC放送の民主党大統領候補討論会で、クリントン議員は他候補から一斉に批判されていた。

 全米で最初に民主党公認候補を選出するアイオワ(Iowa)州の党員集会を8週間後に控え、バラク・オバマ(Barack Obama)上院議員、ジョン・エドワーズ(John Edwards)元上院議員の両候補は、巻き返しを図るためにクリントン候補を激しく攻撃した。

 クリントン議員は、不法移民に運転免許証を付与することの是非について明確な説明を求められており、大統領選の主要争点である不法移民問題に対する姿勢に注目が集まっている。

■批判は「手ごわさ」の証拠

 これに対しクリントン陣営は、クリントン議員は討論会で大統領としての力量を示したとするウェブビデオなどを公表して反撃。「The Politics of Pile On」と題されたウェブビデオは、対立候補がクリントン候補の名前を連呼しているように編集され、その後、自身の名前が引き合いに出されるのは手ごわい相手とみなされている証拠だと語るクリントン議員の発言が収録されている。

■選挙戦の大勢に影響はない?

 クリントン議員の対立候補たちは、支持率トップを独走する同議員への巻き返しを図るため弱点を突く必要があったが、討論会で激しい攻撃にさらされたにもかかわらず、クリントン議員の選挙運動には大きな影響はないとみられる。クリントン議員や夫のビル・クリントン(Bill Clinton)元米大統領は数々の批判を浴びながらそれを乗り越えた過去がある。

 この討論会は大統領選の行方を変え、対立候補の勝利を絶望視する専門家が抱くクリントン議員の「必勝オーラ」に対し一定の歯止めとなるかもしれない。しかし、この討論会でクリントン議員に向けられた激しい批判の嵐の影響がどの程度になるかは、数日後までわからない。こうした討論会についてアイオワ州など地方の有権者は、政府中枢ばかり注目している主要メディアとは異なる反応を示すことが多い。(c)AFP/Stephen Collinson