【10月31日 AFP】北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議で、同国による核施設の無能力化着手を1日に控え、米国首席代表クリストファー・ヒル(Christopher Hill)米国務次官補は31日、北朝鮮の非核化を目指す措置の進行は順調だと満足感を表明した。

 北京入りしたヒル国務次官補は同日、北朝鮮首席代表の金桂冠(キム・ゲグァン、Kim Kye-gwan)外務次官と会談し、寧辺(ニョンビョン、Yongbyon)核施設の無能力化の手順について最終調整を行う。ヒル氏は「調整の必要な問題がいくつかあるが、大枠は合意できていると思う」と語った。

 北朝鮮側は同施設の無能力化を11月1日に開始し、2月の6か国協議での合意どおり年内に完了すると発表している。1日には米国の調査団が北朝鮮入りし、無能力化の着手を見届ける。 

 韓国の宋旻淳(ソン・ミンスン、Song Min-soon)外交通商相はソウル(Seoul)で31日、「北朝鮮が核の放棄へ向けて踏み出す第一歩だ。一度無能力化が完了してしまえば、核施設の再稼動には相当な時間がかかるので難しくなる」と歓迎した。

 宋外相によると、無能力化されるのは、寧辺の5メガワット級実験用原子炉1棟やプルトニウム再処理施設(放射化学研究所)、核燃料棒製造工場などを含む核施設10か所。核燃料棒からは再処理により、核爆弾の原料となるプルトニウムが抽出されていた。

 ヒル国務次官補も「(計画を)再開しようとしても、膨大な時間と費用がかかるだろう」と述べ、今回の無能力化によって、北朝鮮の核開発計画を大きく後退させることになると評価した。

 ヒル次官補は31日、北京滞在中に中国首席代表の武大偉(Wu Dawei)外務次官とも会談した後、1日に韓国、2日に東京に立ち寄る。(c)AFP/Dan Martin