【10月20日 AFP】(21日写真追加)イラン政府は20日、同国の核開発問題をめぐる交渉責任者、アリ・ラリジャニ(Ali Larijani)最高安全保障委員会(SNSC)事務局長が辞任し、後任にサイード・ジャリリ(Saeed Jalili)外務次官(欧州・米国担当)が就任すると発表した。国営イラン通信(IRNA)が伝えた。

 イランの複数の通信社によると、ゴラム・ホセイン・エルハム(Gholam Hossein Elham)政府報道官が「ラリジャニ氏の辞任が受理され、サイード・ジャリリ氏が引き継ぐ」と発表した。

 前日の19日、ファルス(Fars)通信は、マフムード・アフマディネジャド(Mahmoud Ahmadinejad)大統領は、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領から核開発問題をめぐる打開案が提示されたとのラリジャニ氏の発言を「核関連の提案はなかった」と述べて否定したという。ラリジャニ氏は17日、イランを訪問したプーチン大統領が最高指導者アリ・ハメネイ(Ali Khamenei)師との会談で、イランの核開発問題をめぐる行き詰まりを打開する特別な提案をしたと明らかにしていた。

 ラリジャニ氏はアフマディネジャド大統領が当選した2005年の大統領選後にSNSC事務局長に就任した政界最有力者の1人で、イランの核開発計画をめぐり欧州連合(EU)との重要な交渉を2年にわたり率いてきた。SNSC事務局長という立場上、安全保障問題も担当し、3月にはイラン当局が拘束したイラク駐留英兵15人の解放に向けたプロセスも処理した。

 ホセイン・エルハム報道官によると、来週のハビエル・ソラナ(Javier Solana)EU共通外交・安全保障上級代表との会談はジャリリ氏が出席して予定通り行われる。イラン国内の報道によるとラリジャニ氏も何らかの立場で会談に関与する可能性がある。

 ソラナ上級代表は、政治的・経済的見返りと引き換えにウラン濃縮活動を放棄するイランの意思について11月中旬までに国連(UN)常任理事国とドイツに報告することになっている。 (c)AFP