【10月17日 AFP】トルコ政府は16日、イラク政府に対しクルド人武装勢力を厳しく取り締まるよう要求、応じない場合は深刻な結果を招くと警告した。一方、イラク政府は、トルコによるイラク北部への越境攻撃を回避するため、トルコ側に緊急協議を呼びかけた。

 トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)首相は、タリク・ハシミ(Tareq al-Hashemi)イラク副大統領がトルコを訪問する中、イラク側に対する忍耐が限界に達したと明言。

 また「イラク中央政府および北部クルド人自治政府はテロ組織との間に厚い壁を置かねばならない」とし、イラク側に対しクルド人独立国家を目指す武装組織「クルド労働者党(Kurdistan Workers’ PartyPKK)」への取り締まり強化を訴えた。


■イラク北部への軍事進攻承認決議案、17日にも国会で採択へ

 現在、トルコ国会では、PKKが拠点とするイラク北部への軍事進攻を承認する決議案採択の準備が進められており、17日にも採択される見通し。

 決議案が採択されれば、トルコ政府はイラク北部への軍事進攻の時期、規模、および攻撃回数を決定する権限が与えられる。期限は1年。

 エルドアン首相は、「必要があれば、最善の結果を得るために、適切な時期に適切な場所で」軍事進攻が実施されると述べた。 


■米・イラク両政府、トルコに対し自制を要請

 米・イラク両政府はトルコに対し、イラク北部への軍事進攻を控えるよう強く求めている。

 イラクのヌーリ・マリキ(Nuri al-Maliki)首相は16日、緊急閣議を召集し、イラク政府は「トルコの懸念は理解しているが、軍事的解決は受け入れない」との方針を表明。イラク政府のアリ・ダバグ(Ali al-Dabbagh)報道官は、「イラク政府はトルコ政府に緊急協議の実施を求める」と発表した。

 米政府も、トルコへ強く自制を呼びかけ、イラクを更なる混乱に陥れるような一方的な行動を控え、米・イラク両政府との協議を継続するよう求めた。(c)AFP