【10月16日 AFP】米大手経済紙ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)の元編集長らが中心となって非営利の調査報道機関「ProPublica」を設立した。同機関に投資する支援者らが15日、明らかにした。

 ウェブサイトを通じて独自調査によるニュースを24時間、無料で伝えるほか、同一事件に関する内外ニュースメディアの報道も複数取り上げ、利用者に判断材料を提供する。

 5月までウォールストリート・ジャーナル紙編集長を務めていたポール・スタイガー(Paul Steiger)編集長は、「ProPublica」立ち上げ理由について、「真の調査報道が危機に瀕している」ことを挙げる。

 同氏によれば、2005年にアリゾナ州立大学(Arizona State University)が国内主要100紙を対象に実施した調査では、37%もの新聞社で常勤の調査報道記者を置いていなかった。また、常勤調査報道記者がいる新聞社でも、その数は2人以下のところが多く、4人以上常勤させていた新聞社はわずか10%に過ぎなかったという。

「多くの報道機関が調査報道を、経済的利益をもたらさない単なる『ぜいたく品』と認識するようになっている」(スタイガー氏)

「ProPublica」の年間運営費1000万ドル(約11億7000万円)は、Sandler Foundationなど4つの慈善事業団体が出資する。

 万が一予算が切迫した場合には、政府や企業における不正行為、労働組合や学術、医療、報道機関などの不正を追及していくと、Steiger氏は語る。

「ProPublica」によるニュース提供開始は2008年1月の予定。(c)AFP