【10月13日 AFP】2008年米大統領選の民主党有力候補、バラク・オバマ(Barack Obama)上院議員は12日、アイオワ(Iowa)州デモイン(Des Moines)で演説し、同党ライバル候補のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)上院議員のイラク、イラン両国に関する外交政策を激しく非難し、敵意をあらわにした。

■クリントン候補を名指しで非難

 オバマ候補は、前月行われたイランの革命防衛隊(Revolutionary Guard)をテロ組織と指定する方針にクリントン候補が賛成したことを非難。テロ組織指定反対派は、この方針が米国、イランの開戦につながるのではないかと懸念している。

 オバマ候補は非難の対象を「クリントン上院議員」と名指しした上で、2002年の上院採決でイラク開戦に賛成票を投じたクリントン氏を改めて批判した。また、「同採決は故サダム・フセイン(Saddam Hussein)元イラク大統領に圧力をかけるためのものだったがブッシュ大統領によって悪用された」とのクリントン候補の主張を一蹴した。

「イラク戦争の議会承認時に明らかになったように、ブッシュ大統領に額面記載のない小切手を渡すといつ何をするかわからない。クリントン候補は2002年当時、戦争に賛成票を投じるつもりはなかったし、さらなる調査と外交交渉のために票を投じたという。だが当時の議会が外交を行うか否か議論していると思った国民はいるだろうか。2002年10月12日の新聞の一面は『議会がイラクとの外交を許可』ではなく『議会が戦争を支持』となっていた」(オバマ候補)

■クリントン陣営は直ちに反撃

 「希望の政治」を唱えるオバマ候補の戦略変更ともとれるこの発言に、クリントン候補の選挙事務所は、オバマ候補が世論調査で優位を得るために、自身の提唱する政治路線を放棄したとして即座に反撃した。

 クリントン陣営は書面で声明を発表し、「オバマ上院議員は、世論調査の支持率が低下したことをきっかけに、政治を変え人々をひとつにするという誓約を放棄したようだ」と皮肉った。

 さらに、イランに関する決議案の採決当日、オバマ候補が議会を欠席したことを指摘し、「政策がそれほど危険なものだとオバマ上院議員が本当に認識していたとすれば、彼には持論を展開し、反論する責任があったのではないか」と批判した。(c)AFP/Stephen Collinson