【10月4日 AFP】ミャンマーでデモを取材中にジャーナリスト長井健司(Kenji Nagai)さん(50)が銃撃され死亡した事件で、警視庁は4日、東京都内の病院で司法解剖した。

 警視庁(Tokyo Metropolitan Police Department)によると、現在司法解剖中で、結果は5日に報告される予定だという。

 警視庁は日本人が国外で重大犯罪に巻き込まれた場合、日本の警察が捜査することができる刑法の「国外犯規定」を適用し、長井さんの事件の捜査本部を設置した。

 各メディアによると、銃撃が意図的であると判明した場合、警視庁は殺人罪の適用も検討する方針。

 ビデオ映像から長井さんは至近距離から撃たれたとみられる。

■「命がけで撮った映像を取り戻したい」

 長井さんの遺体は同日午前、APF通信(APF News)の山路徹(Toru Yamaji)代表に付き添われてバンコク(Bangkok)経由で成田に到着、その後司法解剖のため両親の待つ東京の病院に送られた。

 長井さんは銃撃された時、ソニー(Sony)製のカメラを使用していたとみられているが、ミャンマー政府当局からは予備として使用していたキヤノン(Canon)製のカメラしか返却されていない。

 山路代表は空港で記者団に対し「彼が命と引き換えにしてまで撮っていた映像を何としても取り戻したい」と述べ、「何を最後に伝えようとしたかったかを確認したい」と決意を示した。


■両政府の対応は

 ミャンマー当局は藪中三十二(Mitoji Yabunaka)外務審議官に対し長井さんの死亡は偶発的事件だと表明している。

 高村正彦(Masahiko Komura)外相は3日、軍事政権の武力行使や長井さんの事件を受け、ミャンマーへの経済支援を縮小する方針を発表した。(c)AFP