【9月29日 AFP】ミャンマーの反軍政デモに対する軍事政権の武力鎮圧に対し、世界中で抗議デモが発生している。国際社会の批判が強まる中、ミャンマーの近隣諸国も「強い嫌悪感」を表明した。

■欧米諸国では各地で抗議デモ、政府閣僚も参加

 オーストラリアでは首都キャンベラ(Canberra)のミャンマー大使館前で抗議デモが発生。デモ参加者が警官隊と衝突した。

 また、ロンドン(London)、パリ(Paris)、ジュネーブ(Geneva)、ローマ(Rome)をはじめとする世界の主要都市にあるミャンマー大使館などの周辺でも市民による抗議デモが行われた。

 ローマではミャンマー大使館前に数百人が集結。イタリア政府閣僚も参加した。デモに参加したエンマ・ボニーノ(Emma Bonino)貿易相は「われわれは弱気になって敗北を認めてはならない。ミャンマーの僧侶を守るためにできることをやるべきだ」と訴えた。

 フランスでは社会党(PS)の元大統領候補、セゴレーヌ・ロワイヤル(Segolene Royal)氏がパリで抗議デモに参加した。

■東南アジア諸国も懸念を表明

 これまでミャンマー軍事政権への批判を控えてきた東南アジア諸国も、武力鎮圧に対する強い反対姿勢を示している。東南アジア諸国連合(Association of Southeast Asian NationsASEAN)は27日、ニューヨーク(New York)の国連(United NationsUN)本部でASEAN非公式外相会議を開き、デモ隊への実力行使の即時停止を求める異例の声明を発表した。

 また、フィリピンのグロリア・アロヨ(Gloria Arroyo)大統領は同国の首都マニラ(Manila)で、民主化運動指導者アウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)さんらの解放を求めた。

 マレーシアでも、ミャンマー人約2000人がミャンマー大使館前に集まった。

■米国とEUが中国政府にミャンマーへの圧力を要請

 ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領は中国の楊潔チ(Yang Jiechi)外相に対し、ミャンマーでの平和的民主化移行の実現に向けて、中国政府が影響力を行使するよう求めた。中国はミャンマー軍事政権と密接な関係にある。

 欧州委員会(European Commission)のベニタ・フェレロワルトナー(Benita Ferrero Waldner)委員(対外関係・欧州近隣国政策担当)も27日、中国政府に対しミャンマー軍事政権へ圧力をかけるよう求めた。これに対し中国側も懸念を表明、ミャンマー政府に自制を促した。

 中国の温家宝(Wen Jiabao)首相は福田康夫(Yasuo Fukuda)首相との電話会談で、ミャンマー情勢の沈静化に向けて働きかけていく姿勢を示したと伝えられ、またイブラヒム・ガンバリ(Ibrahim Gambari)国連事務総長特別顧問のミャンマー訪問で成果が出ることを望むとも述べたという。

 日本政府はミャンマー国内での日本人記者の死亡についてミャンマー軍事政権を非難。ミャンマー国内の大規模プロジェクトへの資金援助を延期した。(c)AFP