【9月25日 AFP】ミャンマー最大の都市ヤンゴン(Yangon)で続いている僧侶らによる反軍政デモについて、政治アナリストらは、軍事政権がついに民主化にかじをとるのか、あるいはおなじみの「流血を伴う弾圧」を行うのか、デモの行方を注視している。

 ヤンゴンで平和的に行われたデモでは、僧侶らはデモに合流した民衆に対し、反政府スローガンではなく、平和や慈悲の祈りの言葉を唱えるよう呼びかけている。

 こうした動きについてタイを拠点とするミャンマー人政治アナリスト、アウンナインウー(Aung Naing Oo)氏は、「民衆は、1988年の民主化要求デモから学んだのだろう」と指摘する。ミャンマーではこのデモにより、26年間続いた社会主義政権が崩壊した。

 しかし問題は、「果たして軍事政権側もこの民主化要求デモから何かを学んだのかどうか」という点にある。ナインウー氏は、「これまでも軍事政権は、反軍政デモに流血を伴う弾圧で対処してきた」と警告を発する。

 また、英オックスフォード大学(Oxford University)の客員研究員であるZarni氏(国際開発学)は、「最良のシナリオは、軍事政権がミャンマーの民主化運動指導者、アウンサンスーチー(Aung San Suu Kyi)氏と協議することだ」とする。

 Zarni氏は、軍事政権の上層部における「穏健派」と「強硬派」の勢力争いが今後の行方を握るとみる。

 ナインウー氏は、1988年の民主化要求デモと比較した場合、今回のデモでは「国際社会からの圧力」が大きな要素になると指摘する。ちなみに、同国の平和的抵抗のシンボルであるスーチー氏は、1988年のデモの際にはまだ表舞台には登場していない。

「軍事政権が暴力に訴えるか、平和的手段を使うか、注視する必要がある」(ナインウー氏)

 ミャンマーの複数の評論家は、軍事政権がヤンゴンから400キロ離れたネピドー(Naypyidaw)に首都機能を移したこともあり、こうしたデモが軍事政権を崩壊させる「革命」に発展する可能性は極めて低いとみている。

 一方で、つい1か月前までは街頭でのデモなど考えられなかったこともあり、ミャンマーの将来を楽観視する人は多い。

 米ニューヨーク(New York)に拠点を置く国際人権監視団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch)のミャンマー問題担当者は、「ミャンマーの一般国民は、ヤンゴンやマンダレー(Mandalay)で僧侶1万人がデモを行う光景に大いに勇気づけられるに違いない」と語った。(c)AFP/Charlie McDonald-Gibson