【9月23日 AFP】イランのマフムード・アフマディネジャド(Mahmoud Ahmadinejad)大統領が23日、国連(United NationsUN)総会への出席のため、米国に到着する。同大統領は25日に国連総会での演説を行うほか、その前日の24日には名門コロンビア大学(Columbia University)での講演を予定している。

 しかし、同大統領の訪米をめぐっては世論に激しい反発が巻き起こり、抗議運動も広がっている。過激な発言を辞さない同大統領はこれまでに、「イスラエル崩壊へのカウントダウンが始まった」と述べたり、第2次世界大戦時のユダヤ人大量虐殺「ホロコースト」の信ぴょう性を疑問視する発言などで、物議を醸してきた。米政府はイランを「テロ支援国家」とみなす上、イラク駐留兵士を大量に殺害してきたイスラム系武装勢力やイラクの反政府勢力を同大統領が援助しているとみている。

 訪米前にはアフマディネジャド大統領が、9.11米同時多発テロで倒壊した世界貿易センタービル(World Trade Center)跡地「グラウンド・ゼロ(Ground Zero)」に献花する許可を求め、ニューヨーク市民の感情を逆なでした。ニューヨーク市当局は、工事の進行と警備上の問題を理由に前週、申請を却下した。

 米CBSテレビに出演したアフマディネジャド大統領は、自身のグラウンド・ゼロ訪問申請が現地で大非難を巻き起こしたことについて驚いた様子で「なぜそれが、侮辱的なのか」と尋ね、当局が承認しなければ訪問にはこだわらないと語った。

 24日のコロンビア大学訪問を控え、大学正門前では23日、抗議集会の開催が予定されている。また25日に演説する国連本部前では、大統領反対派のイラン人亡命者らが当日、抗議デモを行うとみられている。

 一方、コロンビア大のリー・ボーリンジャー(Lee Bollinger)学長は、同大統領を招待した大学側の決断を正当化し「学問と研究の場として、対立する考えを提供する。われわれの社会の価値観の柱をなす『言論の自由』の発展における、非常に重要な論議を呼び起こしたい」と声明を発表した。

 米政府には国連総会の開催国として、加盟各国から参加する代表らに対し、ニューヨークの国連本部から40キロ以内の範囲に移動を制限できる権限が付されている。(c)AFP/James Hossack